筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。
最近、西武園遊園地がリニューアルして昭和レトロ風のテーマパークをつくったり、ゴジラなど怪獣の仕掛けをつくったりとテレビでも宣伝していたけど、この昭和レトロ路線は相変わらず受ける。西武園遊園地は小学生時代に親父に連れてってもらったが、また行きたくなったよ。
以前にも触れたけど、新横浜のラーメン博物館に行ったとき、昭和30年代の街並みがセットになっていて、こちとらの世代は郷愁に浸っていたのだが、どう見ても20歳前後の女子たちが「キャー、なつかしい~」なんて盛り上がっていたので「お前たち!何年の生まれなんだよ!」とあきれてしまったっけ。今では、このテのレトロものへの受け止め方も、世代に関係なくなっているようだ。
そこで、思い出したのが何年か前に青梅市を訪れたときだ。ここは街を上げての昭和レトロに力を入れて、街のあちこちに昔風の映画看板があったり、博物館もある。赤塚不二夫記念館にも行ったな。そんな中に「昭和レトロ商品博物館」があって、何とその中に「雪女の部屋」というのがあったのだ。
何で青梅で雪女かといえば、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が書いた『怪談』のなかに雪女の話があって、その舞台となったのがどうやら青梅らしい。展示もおふざけではなく、雪女伝説を忠実に研究した本格的なものだったので感心した。関連して思い出したのが昔見た映画『怪談 雪女郎』(1968年大映。田中徳三監督。藤村志保、石浜朗主演)だ。これは何とも妖艶で耽美でゾッとさせるホラー映画の傑作だった記憶がある。
雪女は自分の姿を見た者を殺してしまう。特殊な冷凍光線?のようなもので凍死させるのか。