アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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債権者が、「郷鉄工」元専務(資金調達担当)を詐欺容疑で告訴へ(2)

 この連載(1)では、17年9月に2度目の不渡りを出し、破産開始決定を受けた、当時、東証2部に上場していた「郷鉄工所」(岐阜県垂井市)に資金貸付などを行っていた「姥懐山開発」のオーナーO氏が、郷鉄工の元専務で、資金調達担当だった田中桂一氏(冒頭左写真)を詐欺容疑で告訴準備中であると、そこまでに至った経緯を述べた。
O氏主張によれば、総額3億300万円の融資、それに姥懐山が所有していた土地の売却代金1億8000万円と併せ総額4億8300万円の被害にあったという。
郷鉄工社長が代表印を押して差し出した4億8300万円と記載の「借用証明書」もあれば、総額3億300万円の郷鉄工振り出しの約束手形(しかもO氏はこれら手形を裏書譲渡も割引をしていない)、さらに3億円弱の郷鉄工との間で交らした譲渡担保契約書などあり、それが真正なものであることは裁判所も認めている。
にも拘わらず、裁判所は、田中氏の2480万円しか借りていないという主張を認めた。
この2480万円の一部1480万円だけが銀行振り込みで他は手渡しだったこと、「領収書」をもらっていない、手形の金額は差し替えの際に大きくされている可能性がある、そして何より手形や借用書などの金額は“将来の借り入れを目的に書き込んだもの”との田中氏の主張が認められた結果だった。
これに対し実際に総額3億300万円を融資したと主張するO氏は、田中氏がそんな虚偽の主張をするのは、手渡しだったことを幸いに、田中氏は会社にカネを入れるふりをしながら実際はその一部を個人的に着服した可能性大ということで告訴するという。
 本紙にすれば、この手渡しは主に、郷鉄工と資金調達の件でアドバイザリー契約を結んでいた松尾隆容疑者(冒頭右写真。*つい先日、別件詐欺で逮捕されたのは本紙でも既報の通り)紹介の堀友嗣氏を通じてなされ、また田中氏と松尾氏は当時一心同体の関係だったことを思えば、O氏の主張もわからないわけではない。それに手形や借用書なども領収書同様リッパな証拠であるはずで、それにも拘わらずこれら記載金額は“将来の借り入れを目的に書き込んだもの”との田中氏の主張が判例となれば、さすがに金融市場は大混乱になるのではとの懸念もあり取り上げている次第だ。
さて、横に掲げたのは、郷鉄工が姥懐山開発に出していた「覚書」だ。
これも判決に従えば、将来融資してもらえる3億2000万円を期待し、この金額に見合った郷鉄工の株式を渡す(DES)という内容に過ぎないということになる。どこかの零細企業が、闇金業者に手を出して、好き勝手に契約書を作らされたというのならそういう理屈もわかるが、繰り返すが、当時、東証2部の郷鉄工がそんな言いなりになるだろうか? それに、田中氏を告訴とO氏はいっているのだ。O氏が反社会勢力に連なる者で架空の手形や契約書をネタに脅してカネをむしり取ろうとしているなら逆に告訴し逮捕してもらえばいいと思うが、そんな動きも聞かない。否、そもそもそんな者なら告訴しないのではないか。受理されれば、貸し手側も警察に徹底的に調べられるのだから。
この連載(2)では、加えて、O氏は郷鉄工は「計画倒産」だったのではないかという、さらに驚きの主張を紹介する。
もっとも、郷鉄工が1回目の不渡りを出した相手は、O氏がオーナーの姥懐山開発だ。金額は1億1000万円。それで計画倒産とはどういうことか!?

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