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<記事紹介>「日本学術会議への人事介入は『レッドパージ』の再来である」(『サンデー毎日』10月25日号)

 現在発売中のサンデー毎日が「異端狩りを始めた菅政権」という特集を組んでいる。言うまでもなく、菅政権が日本学術会議の新会員6人の任命を拒否した問題を受けての記事だ。その筆頭に、現代史研究者の保阪正康氏による「日本学術会議への人事介入は『レッドパージ』の再来である」が掲載されている。
そこで保阪氏は、今回の人事介入問題の本質は、「レッドパージ」だと言い切っている。学者団体が批判するような「学問の自由」侵害は表面上の問題に過ぎないというのだ。
「レッドパージ」とは、戦後のGHQによる占領支配下、1950年の朝鮮戦争前後におこなわれた「レッドパージ(赤狩り)」のこと。GHQの意向を背景に、吉田茂内閣は共産党員やその同調者とみられる者を職場や教育機関から追放した(1万人以上と言われる)。ただし「赤狩り=共産党の排除」といっても、当時の吉田内閣にとって都合の悪いものを恣意的に追放し、権力拡大に利用したのが実態だという。
今回の菅政権が任命拒否した6人は、安倍政権が強行した安保法制共謀罪を批判した学者だが、6人の思想云々より、その「反政府的言動」を理由としたものであることは明らか。
しかも一部報道によれば、任命拒否には杉田和博官房副長官が関与していたという(「毎日」。10月13日付)。杉田氏は公安警察のトップを経て、前政権以後、菅政権でも官房副長官を務めている。元文科省官僚の前川喜平氏を「出会い系バー」報道を利用し、当時の菅官房長官とともに、加計学園問題に関して口封じを図ったのも杉田氏だ。今回の任命拒否にも関わっているとなれば、まさに「反政府的言動」を弾圧する警察国家の再来そのものではないか。
保阪氏はこれは第1波に過ぎず、今後もアカデミズムへのパージは露骨に続くとみる。そして「学術会議側にも問題がある」と菅政権に同調する一部メディアを批判し、権力者の恣意的で強圧的な態度がこのまま肯定されてしまえば、ファシズムに至ると警告している。
それは大袈裟すぎるだろうか? 確かに、菅政権は発足したばかりでまだ国政の審判も経ていない。しかし次の衆院選で、与党を補完するであろう日本維新の会が議席を倍増(10→30)するだろうとの予測もある。一方で立憲民主党は議席を減らすとも。維新の勢いを借りて菅政権が増長し、政界が総翼賛化すれば、現代版レッド・パージがさらに吹き荒れる可能性がないとは言えないのだ。

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