9月3日のこの連載で、「孫正義氏(冒頭右写真)率いるソフトバンクはグループの米フォートレス社(現在「ユニゾHD」にTOB実施中)を通じ、レオパレス21を買収」するのではないかとの記事を書いた。そして9月12日、早速、動きが出て来た。
筆者の予想とは違い、それは「レオパレス21」(8848。東証1部)ではなく、同社創業者である深山祐助氏が立ち上げた「MDI」(東京都中央区)、しかしながらレオパレスとまったく同じ業態で、しかも未上場ながら売上げ1000億円を超える企業が、「ソフトバンクグループ」(9984。東証1部)と、格安ホテルと賃貸住宅を提供する「OYO Hotels & Homes」(以下OYO略。インド。冒頭左写真は創業者のリテシュ・アガルワル氏)が出資する合弁会社と資本提携したというものだった。
実はレオパレス、かつては同名のMDIという社名だった。
創業者の深山氏、レオパレスから48億円を私的流用したことが発覚し退任。その後、08年にレオパレスへの当てつけのような社名のMDIを設立したのだ。
しかし、MDIは急成長し、2018年3月期の売上高は1196億5526億円、営業利益92置く9060万円。わずか10年ほどでこの業績で上場を準備していたようだ。ところが、資本的には関係ないレオパレスが事件を起こしたことでIPOが難しくなった。19年3期期は初の売上高前年割れを起こしてもいた。
そこへソフトバンクが助け船を出した格好だ。
すでにMDIの物件は、「OYO LIFE」というとOYOが今年3月からわが国で展開しているスマートフォンによる物件探しサービスのサイトで扱われている。MDIの物件、アパートオーナーからの一括借り上げによるサブリースで、それはレオパレスと何ら変わらないのだが、この「OYO LIFE」での物件は、敷金・礼金なし、調理用具一式、寝具、トイレットペーパー、冷蔵庫、テーブル、Wi-Fiなどを備えており、入居者は何も買わなくて即、生活ができる。家賃は高いものの(例えば、都営新宿線「森下駅」の物件は25平方メートルで共益費を入れると13万5000円から)、こうして付加価値を付けている。