「ソフトバンクグループ」(9984。東証1部。東京都港区)の孫正義会長兼社長が、「これからはAIだ!」と発言し、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(以下SVF。オフィスは英ロンドン市)などを通じて世界のAI、IT企業に投資し続けていることは有名だ。
一方で、不動産関連にも投資していることは余り知られていない。2013年、孫氏が個人で銀座中央通りに面した「銀座ティファニ本店」ビルを320億円で購入したのは有名だ。その後の急速なインバウンド拡大もあり、大きく値上がりしていることだろう。
ところで、近年、テクノロジーの発達により従来とは異なる不動産売買、賃貸、投資の新しい仕組みが生み出されており、それを“不動産テック”という。インターネットを利用して、顧客同士のダイレクトマッチング、AIを利用した価格推定・物件提案、VRでの内覧システムなどを指す(下写真図参照のこと)。
SVFでは、この不動産テック企業の米シェアオフィス「ウィーワーク」に630億ドル出資、住宅の買い取り販売の「オープンドア・ラボ・インク」、オンライン仲介の「コンパス」などにも出資している。また、SVFとは別にソフトバンクグループは米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」を2017年に買収。このフォートレス社、旅行会社大手「HIS」に東京地盤のオフィスビル賃貸主力「ユニゾホールディグス」(3258。東証1部。東京都中央区)が敵対的買収を仕掛けられると、ホワイトナイトとして登場し、ユニゾはフォートレス社のTOB(株式公開買付)を受けるとこの8月16日に発表したのはご存知の通り(1株4000円。発行済み株式の66・67%を下限に。期限は10月1日まで)。