この連載(2)を掲載したのが2月9日。ずいぶん間が空いてしまったが、この間、大きな動きがあったのでお伝えする。
まず、何より大きな動きは、収益ビル・マンションの仕入れ販売を手掛ける「アルデプロ」(8925。東証2部。東京都新宿区)の創業者で元社長、筆頭株主である秋元竜弥オーナー(冒頭右写真)の忠実な部下といってもいい椎塚裕一氏(冒頭左写真)が3月31日、代表取締役社長に復帰したことだ。
本紙では昨年4月からアルデプロにつき適時、調査報道をして来ているが、昨年10月記事のように、椎塚氏は代表権を持たない取締役COOに退いていた。業績悪化で資金繰りも厳しいなか、外部から資金調達、再建のプロが乗り込んで来た結果だが、その新役員・塚本宏樹代表取締役CEOは一身上の都合で代表だけでなく取締役も辞任。同じ理由で芳野剛史取締役も辞任。さじを投げたといえば言い過ぎだろうか。
ただし、その結果、椎塚氏が社長に復帰したことは、この連載の本題である秋元オーナーの「遁走の準備」のためには好都合といってもいいのではないか。
そんななか、現在、アルデプロが所有しているめぼしい不動産(六本木4丁目の2つのビル。代々木駅前のビル=一部所有権=。レオパレス21からまとめ買いした物件)のなかの代々木の地上げでしこっていた分が売れた。
「4月22日のこと。アルデプロは約18億円の資金をつぎ込んでいました。約5億円は儲かったはずです」(関係者)
東京・銀座の中央通りのビルでは実に40億円ともいわれる損切りを余儀なくされたり、例の施工不良問題で価値が著しく毀損したレオパレス21からの購入物件のことなど思えばささやかとはいえ久しぶりの明るいニュースだろう。
もっとも、残りのめぼしい六本木4丁目の物件(横写真)も、めぼしいとはいえ、大通りに面しておらず、アルデプロは約70億円で購入したが50億円ほどの価値しかないとの見方も。苦境は続くばかりだ。
そんななか、この連載(1)でも見たように、秋元オーナーはアルデプロに対する73億円の債権回収に乗り出し、まず昨年5月に約40億円分はDESによるアルデプロ株券化に続き、10月にはこの六本木4丁目の2つのビルに、秋元オ-ナーの個人資産会社「ドラゴンパワー」が残り38億円分の抵当権(共同担保)を付けたことから、本紙は「いよいよ逃走の準備か」といっているわけだ。
そして、新たな動きがあった。