アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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いよいよ遁走の準備か――「アルデプロ」秋元オーナーらの最新動向(2)

本紙では昨年4月4日の記事を手始めに、収益ビル・マンションの仕入れ販売を手掛ける「アルデプロ」(8925。東証2部。東京都新宿区)並びに同社創業者で元社長、筆頭株主である秋元竜弥氏(冒頭写真)らの抱える問題、疑惑などにつき9回に渡り具体的に取り上げて来た。
その続報を報じる。
その前に、昨年12月14日に報じた前回記事では、昨年10月5日、秋元氏の個人資産管理会社「ドラゴンパワー」が、アルデプロの保有する東京・六本木4丁目の2つの大型物件に38億円の抵当権を付けたことを指摘した。
秋元氏はドラゴンパワーを通じてアルデプロに78億円を貸し付けている。その内40億円近くを昨年5月14日、DESによりアルデプロの株券に替えたことはこの連載2回目に指摘している。
つまり、昨年10月5日には、78億円からこのDESした40億円近くを差し引いた38億円の抵当権を設定したわけだが、このDESと抵当権設定は意味合いが大きく異なる。
DESして取得したアルデプロの株券は、今後の同社の業績次第では株価が上がれば秋元氏はその分儲かるが、逆に悪化すれば損をするどころか最悪株券は紙くずになることをあり得る。いわばアルデプロと運命共同体になったともいえるのに対し、抵当権設定は単に個人資産の保全に走った以外の何者でもないからだ。
しかもこの間のアルデプロの業績悪化は、椎塚裕一前社長を通じるなどして秋元氏が長年経営に深く関与して来た結果だ。それにも拘わらず、自分の個人資産保全に走ったことから、本紙は前回記事で秋元氏は「いよいよ遁走の準備か」との見出しを付けたのだった。
有り体にいえば、秋元氏のこの行為は個人の債権保全に汲々としているだけでなく、株主や取引先などへの背任行為とさえいっていいのではないか。
さて、今回の追加記事における新たな出来事のまず1つは、こんな債権保全の追加として、秋元氏=ドラゴンパワーは今年1月22日、さらにアルデプロが保有する代々木の大型物件(上写真)にも、38億円分の抵当権の共同担保を付けた事実。

前回記事でも触れたように、先に38億円の抵当権を付けた六本木4丁目の物件には、ドラゴンパワーが担保設定する前に、2つの銀行が計66億円の根抵当権を設定していた。当然、先に担保設定した方が債権回収は優先するわけで、この六本木の2物件だけでは、いざ債権回収となった際に満額回収できない可能性が高かった。そのため、なりふりかまわずアルデプロの残った最後といってもいい大型保有物件にも担保設定したということだろう。
それなら、昨年10月に2物件に担保設定した際、この代々木の物権にも同時に設定すればよかったと思うかもしれない。
しかし、アルデプロのIRをチェックすると、この代々木の物件に関しては、昨年10月3日、売却予定のお知らせが出ていた。そのため後付になったのだろう。というのも、いったん売れると広報しながら、その後、延期のIRが出され、結局、昨年12月25日に売却契約解除となっていたのだ。
「実はあすか信金からの借り入れは短期のものが、1年過ぎ、さらに1年過ぎ、あすか側に相当返済を迫られていると聞きます。そんな折に秋元氏は自分個人の債権保全に必死。経営責任というものがないのでしょうか?」(事情通)
さらにいえば、この代々木の物件は、この本紙連載3回目に報じたように、この地上げで協力を頼んだ先への手数料未払いで訴訟を起こされている曰くがある。しかも、そのトラブルに秋元氏は大きな責任を負っていると見られる。
まだこの訴訟は継続中だが、その原告側からは、昨年40億円も損切して売却した銀座の物件でも、仲介をした人に手数料を支払っていないとの情報が聞こえて来ている。
別の銀座のビル買収を巡っても違約金訴訟を起こされていることなど考えると、アルデプロがいざとなるとあれこれ難癖をつけ支払いを拒むのが常套手段とも思えてしまう。
こうしたアルデプロの無責任とも思える体質は、昨年12月3日に払い込みが完了した約5億円の第三者割当増資にもいえる。
この約5億円、販売不動産購入のための金利の高いノンバンクからの借入れを返済するためとしていた。ところが、12月25日のIRによれば、別の購入予定物件につき、売主が決裁を早めてくれというのでそちらにこの5億円を使うことにしたとして「使途資金変更」のお知らせを出す有様。したがって、ノンバンクの抵当権は消えないままだ。
こういうことは株価にも影響する重大な変更と思うのだが、お詫びの言葉もなく、単に変更すれば問題ないとの認識のようだ。
ところで、本紙はこの連載、ほぼ月1回のペースで掲載して来たが、今回は前回から2カ月近く間が空いた。それは、昨年10月に秋元氏のイエスマンだった椎塚氏が社長を退き代表権を持たない取締役になるという大きな人事があったことから、新経営陣体制の元で大きな変化があるのではないかと様子を見ていたためだ。
しかしながら、めぼしい動きはなく、あったのは前述の1月22日付のドラゴンパワー=秋元氏個人の債権保全のための抵当権設定だけだった。
経営手腕が高いといわれていた新経営陣も、いざ取りかかると予想外の経営のひどさにお手上げなのだろうか。
「在庫物件が売れない以上、新規の借入も銀行から不可能。すると新たな仕入れもできません。すると今後、売上・利益の増加は見込めず、新経営陣も在庫処理で切羽詰まった状況にあるのでは。結果、銀座の物件のケースのように、損切りして次々売却ということもあり得るのでは。
秋元氏にすれば、自分は債権保全したから、“ご勝手に!”かも知れませんが、余りに無責任どころか、彼は経営者、まして上場企業の経営者の資格がなかったことを今更ながら自らの行動で証明しているといわざるを得ません」(関係者)
だが、まだこんなことで呆れていてはいけない。
本紙はアルデプロに関し、新たな驚愕すべき問題をキャッチしたからだ。
それは16年6月17日付IRにて発表されている、渋谷区幡ヶ谷の物件の売却についての疑惑だ。この売買自体が虚偽ではないかと、謄本上出て来る買主となっている会社の元所有者からの訴えがあったのだ。

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