アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<主張>「無条件で日朝会談」は安倍首相の人気取り材料か(絵に描いた餅?)

まったく軽いというか、そして人の気持ちを思いやれない人ではないか。安倍晋三首相のことだ。
5月12日には、自分のツイターにTOKIOメンバーとの食事会の写真を投稿し、「福島復興絡み」のコメントをしていたものだから、人気アイドルグループの「政治利用」、「ルール違反」などという声も出ている。
そもそも、本気で福島復興に努めるなら原発廃止が筋ではないか。
それにもまして酷いのが、5月7日から8日にかけて大手新聞1面トップなどに載った「無条件で日朝会談」の話題作り(下写真は「毎日」5月7日夕刊、8日の朝刊)。
この大見出しだけ見れば国民も、北朝鮮に親族を拉致された家族も、新たな拉致被害者が戻って来るかもとの期待を抱くではないか。
この「無条件」という意味、北朝鮮の金正恩委員長と、北朝鮮問題を巡る6カ国協議の参加国のなかで日本だけが首脳会談が実現していない焦りから、これまでの強硬方針を撤回しスリ寄ろうというのが真意であるようだが、「あらゆるチャンスを逃さないで問題解決に当たる」(安倍首相)決意を語ったもので従来方針と変わりないと強弁。
それでも、首脳会談が現実味があるのならともかく、実際には会談実現の目途につき、「決まっていることはなにもない」(菅義偉官房長官)でなぜ一面トップ記事になるのか!? もっと伝えるべきことがあるはずだが、これでは忖度した大手マスコミとの拉致問題を必死にやっているとの話題作り、安倍首相アピールかと思ってしまう。
某週刊誌の取材で、本紙・山岡は「家族会」元事務局長で、02年に帰国した弟・蓮池薫氏の実兄である蓮池透氏に今回の報道につき感想を聞いたが、「今更ながらですが、本当なら1人でも連れ戻して欲しい」とのこと。
 しかしながら、「やるやる詐欺」ではないが、02年の小泉首相訪朝で5人帰国(横写真)後、この17年間、まったく進展ないことを思えば、「安倍さん自身は日朝会談とは一言もいってない。マスコミがいっているだけ」(蓮池氏)で、蓮池氏も安倍首相の参議院選挙に向けての話題作りと疑わざるを得ないとのことだった。
それに万一、首脳会談となっても、安倍首相は「すべての拉致被害者の即時一括帰国という原則はまったく変えていない」と述べている。ところが、日本が被害者と認定している帰国した5人以外の12人につき、北朝鮮は「8人死亡、4人未入国」と主張、しかも拉致されてから長い年月が経つなか、この間、死亡したり帰国を望まない方がいてもおかしくなく、この「即時一括帰国」原則は1人でも2人でも戻れるチャンスをも潰してしまう。
ところで、安倍首相は政治家のなかで拉致問題に一番早くから取り組み、もっとも熱心にやることで注目を浴び、首相の座を引き寄せたとされるが、蓮池氏は02年の小泉首相訪朝後、官房副長官として関わって来ただけで「一番早く」ということもなければ、「熱心」ということもなかったという。
本紙がスクープした安倍事務所の選挙妨害疑惑と地元・下関市の安倍首相自宅放火事件の関係ーーその放火に関し、現在、安倍チルドレンの参議院議員、青山繁晴氏はかつて拉致問題絡みと見て朝鮮総連説を述べたことがあるが、自宅が放火されたのは02年小泉首相訪朝の前、00年なので、時系列的にも朝鮮総連説など矛盾するわけだ。
 話を戻し、今回の蓮池氏取材に当たり、『拉致と日本人』(蓮池氏と辛淑玉氏の対談。岩波書店。16年7月発売)に目を通すと、安倍首相が12年12月に政権復帰したが、蓮池氏は拉致問題の進展につき「私は期待しませんでした。私は第一次政権の放り投げ方を見て、この人は政治家として終わっていると思っていましたので」、「拉致問題を利用して、憲法を変えたいのかって」など何とも辛辣だ。
安倍首相がこれまでやったことも、「制裁を少し強化したことと、担当大臣というポストを作ったぐらいです」とのことだ。
また、帰国した拉致被害者の国の手当ては法案で月13万円ほどに過ぎず、「これでは低すぎる」と指摘したら、「野党が委員会の審議で引き上げるから」とかわされ、そのまま法案が成立。それで蓮池氏が安倍首相に「国の不作為を問い国家賠償請求訴訟を起しますよ」と追及したら、甲高い声で、「蓮池さん、国の不作為を立証するのは大変だよ」といわれ、薄笑いを浮かべられたとも。
まさに拉致問題を政治利用し、拉致家族の心情をもてあそんで来たというのが真相ではないか。
その本質は、選挙妨害で利用だけされ、13年塀のなかに入れられた小山佐市氏についても通じるものがあるだろう。

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