本紙は3年以上前から、新型インフルエンザに抗ウイルス治療薬「タミフル」は本当に効くのか、と問題提起している。
その最大の根拠は、わが国の新型インフルエンザの権威といっていい「国立感染症研究所」(東京都新宿区)も、タミフルに一定の効果があるのは「インフルエンザ症状の発現から2日以内」=“発症”して48時間以内の投与が条件というが、正確には“発症”ではなく、“感染”して48時間以内だからだ。
それでも、これまで“感染”と“発症”の矛盾がそれほどなかったのは、季節性インフルエンザの潜伏期間は1~3日と短かったから。ところが、新型インフルエンザの潜伏期間はもっと長いと予想され、その予想通り、今年4月にメキシコで出現した新型の潜伏期間は3~7日と長いからだ。
こうしたなか、わが国政府はついに、自らのこれまでの発言を覆すような発表を行った。
5月3日、政府の新型インフルエンザ対策推進本部は、タミフルを、新型インフルエンザを発症してからでなく、新型インフルエンザ患者の診療に携わった者や、周辺の濃厚接触者に対しては、それ以前に、「予防薬」として使うと方向転換したのだ。
政府はいまも認めるように、タミフルは「治療薬」であり、「予防薬」ではない。
では、なぜそのタミフルを「予防薬」として使うのか?
(上右写真=パフォーマンスだけの舛添要一厚労相。同左=麻生太郎首相)