宮城県石巻市を襲った東日本大震災の復興事業を巡る数々の疑惑について、この連載ではこれまで5回に渡り報じて来た。そして、前回5回目には、この疑惑を追及し続けている黒須光男石巻市議(冒頭写真)が、仙台地方裁判所の4名の裁判官に対し、衆議院第二議員会館内にある裁判官訴追委員会に裁判官訴追請求を提出したことを報じた。
同委員会はこれを受理したが、その後7月に黒須氏は同委員会に出向き、補充提出として、担当者に証拠説明書を手渡した。
補充提出した証拠説明書のひとつとして、例えば、石巻市長が作成した公文書不存在決定通知書がある。(右下写真左は亀山紘前市長、右は齊藤正美市長)
これは黒須氏が湊東地区復興住宅に係る液状化対策(*連載2回目で報じた)で2つの工法についての内容の詳細の開示を求めたことに対して、市が「それらの工法は実施していないので文書は存在しない」とした通知書だ。
しかし、これはおかしな話だ。なぜならば、市は議会で、液状化対策工事はこれらの工法で施工した、と説明しているのである。
そもそも訴追請求は判決の結論を争うものでなく、担当裁判官が黒須氏が提出した証拠や主要争点について、必要な審理および判断を尽くしたのか否か、を問題にするもの。
つまり、黒須氏は仙台地検に石巻市長の告発事案に対する審理、判断には重大な疑惑があるとして、裁判官の訴追の要否についての審査を求めたわけである。
液状化対策工事に係る2つの工法について、石巻市長が作成した先の通知書は、議会での石巻市の説明内容と相反するものであり、復興事業に係る工事内容の真実性を判断する主要な証拠だ。
しかし、裁判ではこの証拠をどのような評価を行い、どのような事実認定したのかが示されていなかった。それで黒須氏は担当裁判官が主要争点に関する、これらの重要証拠について、十分な審理を尽くしたのか否かを判断するための補充資料として提出したのである。
手元にS氏が裁判官訴追委員会に退出した「陳述書」(以下で転載)がある。
S氏は総務省のキャリア官僚で、平成28年に東日本大震災からの復興途上にあった石巻市に復興担当審議監として着任。翌29年から副市長を務めた人物。
陳述書にはS氏が副市長在任中に行った議会答弁の経緯や石巻市の行政内部における事実関係の確認の検証および担当部署から幹部への報告のあり方についての複数の「疑問」を抱くに至った内容がつづられている。



