
前回報じた宮城県石巻市の疑惑に包まれた復興住宅建設事業ーー。
これは業者に住宅を建設させて、市がこれを買取り被災者に賃貸する事業で、プロポーザル方式で企業が応募。結果、「大和ハウス工業」(1925。東証プライム。大阪市北区)に決定、買取り価格は約43億8000万円で締結した(2013年)。
ところが翌年に、何の手続きもなく、それが約47億2500万円で市長が決裁している。実に約3億4000万円の増額だ。
プロポーザルによる買取り方式という特殊な発注の形態は、まずプロポーザル方式で事業者を決定した後、買取り価格は申請時の希望価格を規定し「石巻市買取事業住宅制度運営委員会」(以下、運営委員会)で、事業者と買取り価格を決定するという方式だ。
「この上乗せ額について、市側の説明も関連資料の開示もない。新蛇田地区での復興住宅買取りは、戸数は変わりないが、4LDKがわずか9戸増えたことで1億7000万円の増額となったとあるが、決して納得できるものではない」(この問題で仙台地検に当時の亀山紘市長=冒頭右写真=らを告発した黒須光男元市議=右下写真=。その横写真は石巻市内の復興公団住宅)。
資料をみると、確かに4LDKは9戸増えているが、2LDK、3LDKはそれぞれが5戸、4戸減っている。
「各戸数は利用者から登録されており、あらかじめ決まったもの。それを市側から変更を申入れしたこと自体不可解。また誰が決めたかも明らかにされていない」(同)
そもそも、プロポーザル契約方式では価格の変更はできないとされている。つまり金額の増額は認められていない。買取り額が決定した後、自由に価格を変更できるのであれば、プロポーザルで最優秀事業者を決定した意味がなくなるからだ。募集要綱でも「運営委員会で決定された買取り希望額は超えてはならない」と規定している。
このように同事業は、その出発点から疑惑があるわけだが、湊東地区における液状化対策として、4億8000万円を投じた地盤改良も疑惑だらけだ。
「地盤改良のためのサンドコンパクションによる砂杭打ちで、市は1500本を打ち込んだと説明するが、それを証明するのは、わずか数本の施工写真だけ。専門家に聞いたところ、1本ごと打ち込むと、サンドコンパクションの緯度、経度が1ミリも狂いなく出てくるとのことです。このデータが存在しないならば、架空工事と言っています。それでデータの開示を求めたのですが、市側は資料はないとの回答です。
つまり、実際には施工されていないのに工事が完了されたように処理された、と考えざるを得ない」(同)
話しに出てきた専門家の話。
「正直なところ、打設工事が行われたかどうかは破壊工事するしか分らないでしょう」。
まさに真相は「土」の中なのだが、これらの話を総合すると、液状化対策の地盤改良工事が適切に実施されたというのははなはだ疑わしい。
市側の「関係書類の不開示」「腑に落ちない説明」――などなど、どうしても市側の“真相を封印する”という心象風景が見え隠れするのだ。
問題の事業は、このように闇の中なのだが、ただ水面下に留まらず表面に現れた事業がある。前号で指摘した新蛇田地区の仮設費。電気設備費と仮設水道費とする1億2000万円の工事だ。
これは全く必要のない工事だったことが判明している(前号参照のこと)。
当時、総務省から出向していた副市長S氏は、「仮設水道設備として井戸を活用しようとしたことは間違いないのですが、後で水質が悪かったなどの事情から井戸は掘らなかった、との報告を受けました。私の確認不足でした」
と、黒須氏の証言を一部認めている。



