
2011年3月11日、東北地方一帯を襲った東日本大震災は来月で15年目を迎えるが、当時の記憶は未だ生々しい。大震災後、道路や住宅再建などのインフラ整備に国から実に約1兆2000億円の巨額な復興資金が投じられた。
この復興マネーを巡っては、大手ゼネコンの複数の下請け業者が、不正経理により裏金を作っていたことが明らかになった。元請けのゼネコン幹部に提供するためだ。
例えば最大手ゼネコンの一角「鹿島」(1812。東証プライム。東京都港区)の東北支店では、複数の幹部が下請け業者から巨額の利益を受けていたことが明らかになっている(冒頭右写真)。そして、これらのカネの大半は、工事の水増し請求によって作られた裏金だったことが白日の下にさらされた。
宮城県第二の都市・石巻市ーーかの地も大震災により未曽有の打撃を受け、復興資金での道路、橋梁、下水などの整備が急ピッチに進められた。なかでも、復興住宅建設には多額の資金が投じられた。
この復興住宅建設では入札発注から疑惑があり、調べれば調べるほど様々な疑惑が噴出して来たと追及している人物がいる。元市議の黒須光男氏(下左側写真)だ。
同氏は市議会で亀山紘市長(下右側写真。当時)にこの疑惑=官製談合、水増し工事、架空工事=を質し、内部文書の開示を求めるなどしたが、市長をはじめ復興部長はあやふやな答弁に終始し真面目な答弁(回答)は皆無だった。
そこで同氏は不正な契約を行ったとして、背任容疑で市長らを昨年12月に仙台地検に告発した。地検はこれを受理して現在も捜査中だ。
黒須氏が指摘する最大の疑惑は架空工事。同氏は新蛇田地区復興住宅建設事業で3億4000万円、湊東地区のそれでは4億8000万円が架空工事だったと追及している(左下写真=石巻市立大門町復興住宅)。
石巻市の復興マネーに絡む実に8億円以上の架空工事の闇ーー「この金が市長や一部職員にキックバックされた疑いもある。市長をはじめとする幹部職員および議会までもが一体となった架空工事隠し」(黒須氏)というから、問題の根はあまりにも奥が深い。
確かに、こんな作業(カラクリ)は市長一人で出来るものではない。市長側にしてみれば、架空水増し工事を追及する黒須議員は煙たい存在だ。
それらを裏づけするかのような議会の動きがあった。黒須氏は本会議で不穏な発言を繰り返したとして懲罰特別委員会が設置され、20年2月、全会一致で懲罰を可決。8日間の出席停止が宣告された。その上、その内容を市内全域に配布される石巻市広報誌に掲載するほどの念の入れようだった(*ただし、黒須氏は不当だと民事提訴し、昨年、出席停止の懲罰は違法との判決が出ている)。
話を架空工事疑惑に戻す。手元にはその黒須氏が地検に提出した膨大な量の架空工事の〝証拠資料〟がある。そのうちのごくごく一部を取り上げる。
例えば、新蛇田地区住宅の仮設費ーーこれは電気設備費と仮設水道費(井戸を掘る)として約1億2000万円増額している。そこで黒須氏は20年に石巻地方広域水道企業団と市復興事業部を、議会事務職員を伴い現地調査した。
その結果、「当該建設地に接する道路には、昭和57年度に水道管を布設しており即、水道は布設できる。また当時から民家が建っており、電気を引けることを確認した」(水道企業団)。
すなわち、それらの増額した仮設はまったく必要のない架空の工事だったようなのだ(実際、井戸など掘っていない)。
改めて述べるが、これらの事例は8億円にも膨れる架空工事のほんの一部で、後には湊東地域の復興住宅買取り事業での地盤改良事業など大きな金額の架空工事が控える。
これらの架空工事については次回で詳しく述べるとして、問題の湊東地区および新蛇田地区の復興住宅事業は、災害復興のための公営住宅を同地区に設けるとして業者に建設させて、これを市が買い取り被災者に賃貸するというものだった。



