30億円の行方を問われ「MPHに入れちゃってる」、暗号資産2・75億円消失は「持っていかれた」「乗っ取られた」ーーすべて他人のせいにする、脱毛大手サロン「ミュゼプラチナム」を経営していて破綻した「MPH」代表だったこの男に、出資者の金を預かる資格はあるのか!?
本紙はその後も「ミュゼ・メディア・HD」代表として、ミュゼプラチナムを経営している高橋英樹氏が、MPH破綻前、「広告ファンド」名目で自分が率いる「英門舎グループ」中核企業「グローバルブリッジファンド」(以下GBF略)で、MPHの広告費名目に社債を発行し30億円超集金していた事実を把握。ところが、MPHが破綻したことを理由に、GBFは別会社で存続しているのに一銭も返金しない。そこには重大な疑義があることから連載で追及。連載3回目(6月19日掲載)には公開質問状を出した。(*本紙YouTube版でも配信。ココをクリックすれば観れます。無料)
これに対し、高橋氏はYouTubeで約60分の「アンサー動画」を公開した(*ココをクリックすれば見れる)。
本紙が設定した回答期限内に書面での回答はなく、本紙への直接の連絡もなかった。出資者には面談を断り、書面での質問にも答えず、メディアからの公開質問にも書面では応じない。
しかしYouTubeのカメラの前では饒舌に語る。高橋氏にとって「説明」とは、自分の都合のよいストーリーを一方的に発信することらしい。
本紙はその動画の全編を精査した。
率直に言って、落胆した。高橋氏の「回答」は、回答の体をなしていない。質問の核心には一切触れず、論点をすり替え、都合の悪い部分は「騙された」、「持っていかれた」、「乗っ取られた」と他人のせいにし、最後は「逃げない、払う、大丈夫」で締める。
60億円以上を集めておいて、この程度の説明しかできない人間に、果たしてミュゼプラチナムの再建などできるのだろうか!?
以下、高橋氏の回答を検証する。なお、公開質問状の質問は全部で8つだが、その【質問1】(乗っ取りと裁判所の処分)については、高橋氏が自ら語りたい内容に終始しており、本件の核心ではないため割愛する。
【質問2】「広告ファンド」の資金使途について
30億円の資金使途ーー「MPHに入れちゃってる」で済む話ではない
本紙が最も問いたかったのは、「出資者から集めた30億円超は、本当に広告に使われたのか?」という一点である。
高橋氏の回答はこうだった。
「GBF(「グローバルブリッジファンド」)はMPHに対して64億円分の貸付を行っている。30億はお客さんから集めたものもあるかもしれないが、自分で入れたものが大半。基本的にはGBFが運転資金に使ったりというのは基本的にはない。MPHに入れちゃってる」。
質問をもう一度確認してほしい。
「広告に使われたのか?」と聞いている。「MPHに入れた」は回答ではない。
MPHに入れた金が、MPHの中で何に使われたのか? それが質問の核心だが、高橋氏はその一点から見事に逃げている。
広告ファンドの説明資料では、「毎月6~7億円の広告出稿を行い、25億円以上の売上を生み出す」と謳っていた。であれば、その規模の広告出稿が実際に行われた証拠ーー掲載レポート、月次の出稿額、広告投資に対するリターンなどを示せばよい。しかし、高橋氏はそのいずれも提示しない。提示しないのではなく、提示できないのだろう。
さらに、高橋氏は資金の流れについて、複数の会社を経由して広告代理店に渡ったと説明した。しかし本紙の取材により、広告代理店への支払いはGBFから直接振り込まれていたことが確認されている。振込明細も存在し、広告会社にも裏取りを行った。高橋氏の説明と事実は異なっている。
なお、GBFから支払いを受けた広告関連会社のうち1社は登記上は存在するものの、事業実態が確認できない会社だった。この点についても、高橋氏からの説明はない。
高橋氏は「差し押さえられた」を繰り返すが、誰からの、何に基づく差し押さえなのかすら説明しない。「差し押さえ」という言葉を免罪符のように使い、それ以上の追及を遮断しようとしている。
【質問3】真田哲弥氏の暗号資産プロジェクトへの資金投入について
広告ファンドの金が暗号資産に流れていたーーしかも「宝くじみたいなもん」
高橋氏の回答は、聞けば聞くほど矛盾が深まる。
【質問2】への回答で「64億円全額MPHに貸した」、「GBFが運転資金使ったりはない」と断言した高橋氏は、この【質問3】に対し平然とこう述べた。
「2024年の3月26日に1億6500万円入れてる。ソーラーシードとの契約。うちは簡単に言うと多分、真田さんに騙されてると思う」。
全額MPHに貸したと言ったそばから、1億6500万円を暗号資産プロジェクトに投資していたことを認めた。矛盾である。しかも投資先は、東証プライム上場企業「KLab」創業者・真田哲弥氏の妻の会社「ソーラーシード」。なぜ上場企業や真田氏本人の会社ではなく、親族の個人会社を通じた契約なのか? まともなガバナンス感覚があれば、この時点で疑問を持つだろう。
加えて、高橋氏は「3月26日に1億6500万円入れた」と一括投資のように説明したが、本紙の取材により、実際には4回に分けた送金であることが判明している。
①2024年3月26日 66,037 USDT(約1,000万円)。②2024年4月1日 66,037 USDT(約1,000万円)。③2024年4月22日 4,500万円(日本円)。④2024年4月25日 1億円(日本円)。
総額は一致するが、約1カ月にわたる分割送金であり一括投資ではない。
注目すべきは、最初の2回の送金はUSDT(暗号資産のステーブルコイン)建てで行われている点だ。このUSDTの原資は何か? 高橋氏が別途行っていた暗号資産運用の資金が充てられた可能性がある。出資者への説明について、高橋氏はこう語った。
「公募してるわけじゃないから、もう知り合いにしかやってない。利益になったら半分ちょうだい、という契約。宝くじみたいなもん」。
「宝くじみたいなもの」に出資者から預かった資金を1億6500万円を投じるのか? この言葉の軽さを、出資者はどう感じるだろうか?
また、「利益になったら半分もらう」という報酬体系は、金融商品取引法上の投資運用業に該当する可能性があり、無登録であれば法令違反の疑いもある。
そもそも広告運用名目で集めた資金を暗号資産に投資することについて、出資者へ事前同意を得たのか?
そして高橋氏は、「騙されたかもしれない」と言う。「最初半年と言っていたのに2年経っている」と自ら認めながら、真田氏やソーラーシード社に対して書面で説明を求めることも、法的措置を講じることもしていない。
ここで一つ、決定的な矛盾を指摘しておく。
高橋氏は自分が関わる会社の「乗っ取り」に対しては仮処分、本訴2件、刑事告訴とあらゆる法的手段を迅速に講じている。自分の支配権を守るためなら全力で動ける人間が、出資者の金1億6500万円が消えた相手には訴訟ひとつ起こさない。この行動の落差が、高橋氏にとって出資者の金がどういう位置づけかを雄弁に物語っているのでないか。
【質問4】GBFの短期貸付金32億円の貸付先
32億円の貸付金ーー「ガラス張り」と言うほど矛盾が露呈する
GBFの決算書に計上された約32億円の短期貸付金はどこに行ったのか? 高橋氏はこう答えた。
「32億は全部MPHに行ってます。MPHには今47億くらい貸付残高が残ってて、実際は64億円入れた。64億のうちちょうど半分は自分で入れてる」。
64億円投入して47億円残っていると。では、差額の17億円はどこに行ったのか? 回収済みということになるがMPHは破産している。いつ、どのように回収したのか。高橋氏は説明しない。さらに高橋氏は、GBFの決算書を開示したと明言した。
「グローバルブリッジファンドの決算書を開示したんですよ。その開示した内容を山岡さんが見てて、30億も社債集めてんじゃん、この30億どこ行ったの、という話をしてるんだと思うんですけど」。
本紙の情報源について勝手な推測を述べているが、本紙には複数の関係者から情報提供が寄せられている。特定個人を名指しすることは事実に反するだけでなく、その個人への圧力と受け取られかねない行為だ。
それはさておき、高橋氏は「口座はガラス張り」、「MPHにGBFの借入れが42億残ってるからガラスだ」と透明性を主張する。しかし、MPHの破産管財人は、破産前に資金が引き上げられていると指摘している。「ガラス張り」と破産管財人の指摘は明らかに矛盾する。
Xで出回る送金記録については「偽造。悪魔の証明」と断じた。
しかし「悪魔の証明」とは、存在しないことの証明が不可能であるという概念だ。送金記録は存在しているのだから、偽造だと主張するならGBFからMPHへの正しい送金記録を開示して反証すればよい。「ガラス張り」ならばそれができるはずだが、高橋氏はしない。ガラス張りなのは、高橋氏の言葉上だけでのことではないのか。



