アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

200億円(?)の資金はどこに消えたのか──海外FX「GEMFOREX」。「収納代行」口座を作らせたのは誰か?(第7回)

海外FX「GEMFOREX」(ゲムフォレックス)の詐欺疑惑を追及するこの連載の前回(第6回)で、「知らないうちに、詐欺の(銀行)口座にされていた」末端の名義人の声も紹介した。
誰かに勧められるまま会社を設立させられ、銀行口座を開かされ、その口座がGEMFOREXの顧客資金の受け皿にされていたというのだ。そしてこの6回目の記事でこう書いた。「本当に裁かれるべきは、そのように仕向けたGEMFOREXの経営陣、そして会社設立の段取りをした者だ」と。
今回、その全容に踏み込む。
名義人の背後には、会社と口座を「設計した」手配役がいた。そして、その手配役のさらに上に依頼した人物がいた。それはGEMFOREXの実質的経営者・冨山智広氏だったのだ。

■同じ日に生まれた、二つの会社
まず、動かせない登記の事実から始めたい。
2018年8月28日、この同じ日に2つの会社が設立されている。
「日本電産管理」(株)と、(株)「トータルペイ」だ。そして、両社の登記上の「目的」は共に「収納代行業」だった。
会社の設立日が同じであること自体は、偶然でも起こり得る。
だが、同じ日に、同じ「収納代行」を目的として2つの会社が生まれたーーこれを偶然と呼ぶには、あまりに揃いすぎではないか?
もっとも、後にGEMFOREXの資金の流れに直接関わっていたことが確認できたのは日本電産管理の方だ。トータルペイについては、現時点で直接の関与までは確認できていない。日本電産管理を主たる受け皿とし、トータルペイはその「2番手」ーー予備の器として用意されたに止まる可能性もある。
だが、いずれにせよ、同じ日に、同じ目的で、2つの受け皿が用意されたという事実は動かない。何者かが、同じ日に、まとめて受け皿を用意した。そう見るのが自然である。

■「日本電産管理」という名
日本電産管理の閉鎖謄本を見ると、その素性がより鮮明になる。
本店は埼玉県所沢市。資本金100万円、発行済株式20株の、ごく小さな会社である。だが、登記された「目的」の欄には「収納代行業」の他、「振込代行業」「国内・海外アフィリエイト(成功報酬型広告)、アプリケーションプロバイダの入金、出金の代行業務」などだ。
海外事業者への入出金を代行する。まさに、無登録の海外FX業者が日本から集金するための器ではないか。
そして、その商号「日本電産管理」は、世界的な精密モーター大手「ニデック」(旧名・日本電産)」(6594。東証プライム。京都市)を強く想起させる名である。実体はモーターとも精密機器とも無縁の収納代行の受け皿会社だが、信用のある大企業を思わせる社名をまとうことが口座開設や取引の場面でどう作用するか。その狙いは、あえて指摘するまでもないだろう。

■手配役ーー清水敦氏という人物
では、先の2つの会社を誰が用意したのか?
本紙の取材で浮かび上がったのが「清水敦」なる人物だ。
埼玉県入間市で中古車販売の「エスカンパニー」という有限会社を営む人物。国産・外車の販売からリース、修理、鈑金、塗装、車検、保険まで手がける、地元の自動車屋である。
関係者の証言によれば、清水氏は当時部下だった濱中崇氏とT・Y氏の2名に対し法人の登記と銀行口座の開設を指示した。日本電産管理の代表には濱中氏が、トータルペイの代表にはT・Y氏がそれぞれ名を連ねた。だが、登記上の代表者が誰であれ、法人も口座も実際に握って動かしていたのは清水氏だったというのだ。
なお、濱中氏は現在も清水氏のもとでスタッフとして働いている。一方、トータルペイの名義人であるT・Y氏はすでに清水氏のもとを離れ、退職している。同じ日に代表として名を連ねた2人のその後の立場は分かれた。
ここで、T・Y氏を実名ではなくイニシャルで記す理由を述べておきたい。彼はこの問題をめぐって自ら警察に出頭し、みずほ銀行にも自ら出向いて事情を説明し、本紙の取材に対しても赤裸々に、全面的に事実を明かしてくれた。名義を負わされた末端でありながら、自らの意思で真相解明に協力しようとしているーーその立場に鑑み、本紙はあえて同氏の実名を伏せた。
名義がどれほど「借り物」であったかは、その中身を見ればわかる。

この続きを読むには有料購読の登録が必要です。

Already a member? こちらからログイン
関連キーワード
検索

カテゴリ一覧