アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

<新連載>「ホリちゃんの眼」(スポーツ、芸能担当)第6回「ボクシング、2004年徳山VS川嶋戦の『奇跡』」(5/2井上VS中谷予想も)

筆者・堀川嘉照(ほりかわ・よしてる)。1966年生。都立上野高等学校卒。16歳からボクシングを始め、19歳プロデビュー。20歳でソフトウェア会社設立。23歳で日本バンタム級ランキング入り。引退後、ボクシング興行を手掛ける。50歳よりジャーナリズムの世界へ。

先日、夕食をしていた私はテレビから大橋ボクシングジム会長・大橋秀行氏(60)の声が聞こえ、箸を置きテレビに集中した。
日本テレビ系「ザ!仰天ニュース」で、2000年3月に発生し乗客5人が亡くなった地下鉄日比谷線の脱線事故をめぐるエピソードが放送されていた。亡くなった乗客の1人が当時高校生だった富久信介さんだった。富久さんは大橋ボクシングジムに通っていて、その関係で大橋会長がインタビューされていた。
というのも、富久さんが亡くなって20年後に彼の家族のもとに一通のラブレターが届く。差出人は、毎朝同じ電車で通学し、密かに信介さんへ想いを寄せていた女性だった。
手紙には家族も知らなかった信介さんの素顔や日常が綴られており、亡くなった後も誰かの心に生き続けていたことが明らかになる。その実話をもとに映画化された(「人はなぜラブレターを書くのか」配給:東宝)。その女性と富久さんの家族への橋渡しをしたのが、大橋会長だった。

最後までテレビを観たが、少し気になったことがあった。
富久さんは大橋ジムで元WBCスーパーフライ級チャンピオンの川嶋勝重選手と仲が良く、2004年6月28日、当時、無双チャンピオンと言われた徳山昌守(金沢ジム)選手に1RTKOで勝利。そして、大橋ボクシングジム初の世界チャンピオンになった。
美談に水を差すつもりはまったくないが、先のTVでは勝利は「奇跡」と言われていた。映画の番宣もあり、天国の富久さんが「勝たせてくれた」とも。確かに川嶋選手のトランクスには富久さんのイニシャル「S・T」が縫い込まれていたのを未だに覚えているが……。

川嶋選手が新チャンピオンになったのは、徳山チャンピオンとの2度目の対戦であった。1戦目は2003年6月23日。場所は横浜アリーナ。大橋ボクシングジム初の世界タイトルマッチ。その試合こそ、私と大橋会長の「乗り興行」だった。これは、団体や会場側ではなく、プロモーター(興行主)が試合にかかる経費の大半を負担し、選手や団体がそれに乗る形で開催される形式のこと。

この徳山VS川嶋、第1戦は初回から川嶋選手が攻めて行き、徳山チャンピオンは最初こそ戸惑っていたがラウンドが進むにつれ徳山ペースになり、手数の差で川嶋選手の判定負けだった。だが、この時、川嶋選手は確かな手応えを掴んでいたのではないだろうか。
その1年後に再戦を果たすわけだが、業界特有の興行権の関係で再戦してもらう側はリスクも大きい。しかし、大橋会長は川嶋選手を信じ、また川嶋選手担当の松本トレーナー等と綿密な「徳山対策」を練り、勝負に出たのだった(試合は同じ横浜アリーナ)。
結果、1ラウンド1分47秒TKOで川嶋選手及び大橋ジムは勝負に勝った。とても「奇跡」の2文字だけでは到底片付けられない物語があったのだ。また、この「徳山VS川嶋」の2戦があったからこそ、現在の日本ボクシング界の盟主、チャンピオンメーカーの大橋ボクシングジム、モンスター井上尚弥選手の出現の礎となったのではないか。

さて、その井上尚弥チャンピオンは現在、3階級制覇王者の、奇しくも井上チャンピオンの戦績と同じ32戦全勝の中谷潤人(MTジム)と5月2日に東京ドームで対戦する。日本ボクシング界に残るビッグマッチの予想を、僭越ながら以下、させていただく。
井上チャンピオンは4階級制覇王者、それもバンタム級・スーパーバンタム級主要4団体統一王者。無敵を誇るが2024年5月、今回の試合会場でもある東京ドームのリングで、ルイス・ネリ(メキシコ)に1R左パンチをもらいプロ初のダウンを喫する。また昨年5月、ラモン・カルデナス(アメリカ)に2R左フックを受けダウンした。
中谷選手はサウスポースタイルから左のパンチが得意。井上チャンピオンはむろん、警戒する。がしかし、井上チャンピオンは間違いなく打ち合いに持っていくだろう。そこで中谷選手が左を当てるかが勝負の鍵になるだろう。前半に中谷選手のパンチを被弾すると危ない。お互いの選手に言えることだが、一瞬の隙も許されない。瞬きせず、熱戦を見るつもりだ。
1R~5R、中谷選手KO勝ち。それ以上試合が延びれば、井上選手のKO勝ちか?
両選手、ベストコンディションでリングに上がってほしい。

関連キーワード
検索

カテゴリ一覧