アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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鹿児島の迎賓館「城山ホテル鹿児島」――鹿児島銀行支配下で数々の疑惑浮上(第2回 解説編)

7月5日、本紙では、鹿児島市街を一望できる標高108mの高台(城山)に建つ「城山ホテル鹿児島」(冒頭写真)を運営、県内での知名度は抜群で、当地業界ではトップクラスの売り上げを誇る「城山観光㈱」につき、メインバンクの鹿児島銀行支配下で数々の疑惑が浮上しているとして、とりあえずその概要だけ述べた
バブル崩壊の影響は同社も例外ではなく、最終的に、鹿児島銀行を中心に私的整理を行うことになり、2006年1月、創業家を事実上経営から排除(株式は創業家2代目社長だった保太生氏が現在も20%で筆頭株主)。その上で2008年4月、鹿児島銀行側は保氏に無断で、最大の稼ぎ頭だったパチンコ部門を子会社化。そして、その子会社「モリナガ」を今年1月、時価評価額63億円のところ、わずか23億円で、他県の会社に売却。地元財界にも大きな衝撃が走っているとの内容だった。
1回目の記事では触れなかったが、そもそも、鹿児島銀行との間では、保氏が城山観光の代表取締役社長を退任する(2006年1月)に当たり、それから10年を目途に城山観光の株式を戻す(=創業家一族が代表に復帰)との約束があったという(鹿児島銀行側は否定=右下写真参照のこと)。それが事実なら2016年には実行されていないとおかしいが、約束は履行されず、挙句、最大の資金源だったパチンコ部門を子会社化され、時価の3分の1の超安値で九州外の企業に売却される。
「地元を守る再建」の美名の下、鹿児島銀行が主導権を託されたが、いったい、どういうことなのか!?
第2回目の今回は、この一連の流れが、法的にも問題であることを解説する。

今回のパチンコ子会社「モリナガ」の売却スキームの問題点は、以下の3点に集約される。
①そもそも2006年、株主総会の議決を経ずに、パチンコ事業(モリナガ)を子会社化している。
②資産価値63億円とされる事業を23億円で売却した点。
③銀行主導で取締役会を掌握するなか、株主への実質的説明責任を果たさなかった点。
これらは、単なる経済問題ではなく、法的リスクをはらむ重大な問題だ。

①株主総会の議決が必要だったのでは!?
■会社法467条は「重要な財産の譲渡」につき、以下のように規定している。
「会社は、その事業の全部または重要な一部を譲渡する場合、株主総会の特別決議を経なければならない」

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