●4月11日、記事を掲載した財界展望新社と共に約3212万円の支払いと謝罪広告求め
見出し通り、パシフィックコンサルタンツ(パシコン略)並びに持ち株会社・パシフィックコンサルタンツグループ代表の荒木民生氏が、本紙・山岡が月刊経済雑誌『財界展望』05年4月号に執筆した「世界的建設コンサルタントに何か起きている――パシフィックコンサルタンツ経営者一族企業の疑惑の金」なるタイトル記事に対し、名誉毀損だとして東京地裁に提訴して来た。
荒木代表は、以下のような記述はすべて事実無根という。
(1)40億円もの負債を抱えて倒産したファミリー企業「パシフィック・テレコム」の大株主である。
(2)パシフィック・テレコムの信用をつける為、わざわざパシコンと似通った社名をつけた。
(3)パシコン側からある会社に発注した費用の半分、1億4500万円をファミリー企業に還流させている。
(4)パシフィック・テレコムは破産し、闇金からも借り入れていた。
(5)パシフィック・テレコム倒産に関する裁判資料のなかには、息子・謙氏の手書きした借金一覧表があり、その債権者のなかには有名な広域暴力団トップの名もある。
(6)疑惑の土地についてコンサルした業務の中には、悪徳地上げ屋やエセ同和、暴力団関係者との交渉も含まれていた。
(7)パシフィック・テレコムの子会社、P・J・Nは息子・謙氏の裏金をプールするための会社。
●完全な訴権の乱用、嫌がらせ訴訟
だが、上記の山岡主張はすべて事実だし、証明もできる。
それどころか、荒木代表自身、重々そう承知しながら、しかし、周りにはウソと公言している以上、訴えないわけにはいかないということで、内心はシブシブ提訴した完全なる“嫌がらせ訴訟”である。
こう書くと、読者の皆さんは、本紙・山岡が盗聴疑惑に関して別媒体に執筆した際、武富士並びに武井保雄が、やはり記事は真実と知りながら訴え、後、自ら「違法提訴でした」と謝罪し、訴訟を取り下げたことを思い出されるのではないだろうか。
そう、これと瓜二つで、完全な訴権の乱用である。
そうである以上、山岡は徹底して争う覚悟である。また、反訴することも検討している。
いずれ、訴訟等を通じて、荒木代表が極めて公的性格の強いパシコンという企業のトップに立ちながら、ファミリー企業の損失穴埋めのため、業務上横領の疑いさえある行為をしていたことが白日の下にさらけ出されるだろう。
一介のフリーライターにもプライドというものがある。それを、自らの保身のため、社会的地位と資金力で持って、虚偽の主張を行い、こちらを貶めようとしている。それが、いかに高い代償につくか、必ずや後悔することになると断言しておく。(写真は荒木代表。パシコンホームぺージより)
●5月27日(金)、さいたま新都心での名誉毀損訴訟にかんするシンポへのお誘い
なお、奇しくも、本紙・山岡に訴状が届いた当日、共に武富士訴訟を闘ったフリーライター仲間の北健一氏から、以下のようなシンポの案内が届いた。
個人情報法などと並び、「言論弾圧の仕掛け」になっている名誉毀損訴訟の悪用にどう立ち向かうか、訴えられた記者が話し合う画期的試み。一般の方も大歓迎とのこと。ぜひご参加ください(当然二次会もあります)。
(シンポのビラより)
――新聞労連関東地方連合会主催シンポジウム
「PRIDE 闘うジャーナリストたち~報道弾圧高額訴訟を考える~」
消費者金融の大手、武富士の事件は多くの人が知っている。違法な取立て、盗聴…。だが、武富士が同社を批判した記事を書いたジャーナリストや出版社を次々と訴えた裁判はご存知だろうか。武富士だけではない。今、政治家や大企業が報道を抑え込むため記者や新聞社、出版社を相手どり次々と高額な訴訟を起こしている。内容はまさに言いががり的だが、書いた本人や弁護士はすべてを正しいと立証しなければならない。裁判への出廷、証人探しなどなど、記者本人は取材する間もないくらい準備に追われる。これは財力にものを言わせた言論弾圧以外のなにものでもない。武富士の事件が明らかになったのも、記事があったからこそ。日本の暗部を隠そうとする言論弾圧はあってはならない。
厳しい状況の中でも自身の誇りをかけて記事を書き続けるジャーナリストがいる。現場からの報告とともに、皆さんと一緒に日本の今を考えたい。
なお、当日は新聞労連を通じて、全国の新聞社84社に行った「言論弾圧訴訟実態アンケート」の結果も報告します。
■日時 5月27日(金) 午後6時半から9時
■会場 With Youさいたま(さいたま新都心内。(埼玉県男女共同参画推進センター。ホテル「ブリランテ武蔵野」4F)JRさいたま新都心駅徒歩5分。JR埼京線北与野駅徒歩6分。
■参加費 無料
■登壇者
★三宅勝久さん(フリージャーナリスト。元山陽新聞記者)
「週刊金曜日」掲載の記事で武富士から1億1千万円支払えと訴えられる。1、2審は完全勝訴。武富士が最高裁に上告し、現在も裁判は継続中。
★伊藤正志さん(毎日新聞社会部記者)
不正な借金取立てを追求した調査報道で旧商工ファンド=SFCGから総額3億5千万円を支払えと訴えられる。裁判は東京地裁で始まったばかり。
★高谷秀男さん
朝日新聞記者(「be」編集部)。「目ん玉売れ」の商工ローンなど経済問題で調査報道を手がける。『AERA』の記事で武富士から訴えられた経験も(勝訴で確定)。
★コーディネーター・北健一さん(フリージャーナリスト。さいたま市在住)
「同時ルポ 武富士裁判」を週刊金曜日に連載中。最近「武富士対言論」(花伝社)を発刊したばかり。
■司会 菊地正志さん(埼玉新聞県南報道部記者)
■お問い合わせ 埼玉新聞労働組合(048・863・2039)