アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<書評>『決定版 明治学院大学事件 授業盗聴と教科書検閲』(寄川条路編。社会評論社)

 キリスト教系名門大学として知られる明治学院大学が、教授に無断で授業を録音し、それを告発した教授を懲戒解雇した明治学院大学事件については、本紙でもたびたび取り上げて来た。ここに来て事件の全貌がわかる裁判資料、および大学教員らの評価やメディアの報道を網羅した「決定版」が出版された。
改めて事件を振り返ると、思想文化論が専門の寄川条路教授が、自身の授業を無断で教職員に録音されたことを告発したが、大学側はそのことと、教授が「キリスト教に反する」教科書を利用したことを理由に寄川教授を懲戒解雇した(2016年)。教授は解雇無効を求め、事態は法廷に移り、大学側は秘密録音を「大学組織を守るために行った」等と主張。互いに控訴して東京高裁で争ったが、2018年、両者は和解した。和解内容は、大学は授業を無断で録音したことを謝罪し、これに抗議したところ解雇された教授には解決金を払って円満に退職するというもの。
本紙がなぜこの事件を取り上げて来たかといえば、この事件が「学問の自由」や「大学自治」、「信教の自由」に触れる重大案件であると考えたからであり、にもかかわらず大手メディアが黙殺したからでもある。
本書の裁判記録を見ると、大学側のナマの主張が読み取れる。たとえば解雇理由とされたテキスト『教養部しのろ教授の大学入門』は大学の裏面を描いたフィクションだが、この本は「キリスト教を愚弄する本」と激怒。寄川教授の授業は「キリスト教による人格教育という建学の精神から許容できない」と主張している。本来自由であるべき大学が、組織防衛を理由に教員を解雇するのは行き過ぎだろう。宗教的な不寛容さも感じざるを得ない。
また本書には、左翼系雑誌『情況』(2023年秋号)に掲載された記事も収録している。明治学院大のある学生が同大学の図書館に『明治学院大学<授業盗聴>事件』『キリスト教学校の「犯罪」』の2冊を購入希望したところ、いずれも拒否されたという。購入しない理由は「真実と異なる内容のため」ということだ。

本書には、以下の本紙アクセスジャーナルの記事も収録されている。
「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き――大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた「明治学院」

「明治学院大学――授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)」

(本体2800円+税)

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