本紙で今年2月20日に取り上げた、明治学院大学教授が大学側に授業中に無断録音されていたことを知り抗議したところ、目を付けられ、その後、授業で使用していた教科書や授業内容がキリスト教を批判しているなどとして解雇されたことに端を発する「授業無断録音訴訟」につき、6月28日に一審判決が出ていた。
もっとも、大手マスコミで報じたのは唯一、「東京新聞」のみのようだ。
7月3日、原告の教授側が司法記者クラブで記者会見まで開いたにも拘わらずだ。
この訴訟、いくら教授も雇われとはいえ、授業に関して自由に研究や発言する「学問の自由」(憲法23条)が保障されないようではとんでもないということで本紙は注目していた。
何しろ、明治学院大学(東京都港区。経営は「明治学院」)では、授業の盗聴が慣例として行われているという。大学の権威、キリスト教主義を批判していないかなど授業を担う教授らをチェックするためで、授業で使う教科書や教材の検閲も同様だという。
そんななか、授業中に無断録音されたことに倫理学担当の寄川条路教授(横写真。56)が抗議したところ、15年12月、大学から「厳重注意」に。それを告発したところ、16年10月、今度は懲戒解雇されたという。
そこで寄川氏は東京地裁に地位確認の労働審判を申し立て。
16年12月、地裁は解雇は無効として寄川氏の復職を提案したが、大学側が拒否したことから提訴して争われていた。
東京地裁は6月28日、解雇権の濫用だとして、教授としての地位確認と賃金の支払いを命じた。