本紙は6月22日、「アルデプロ」(8925。東証2部。東京都新宿区。椎塚裕一社長=冒頭左写真)が東京・代々木の地上げ絡みで提訴されていた件を報じている。
その際、この件を同社が未だIRしていないのは、その背後に、アルデプロの創業者で元社長、そして筆頭株主(35・71%)である秋元竜弥氏(冒頭右写真)に関するもっと重大な疑惑まで浮上して来るからではないとして、この1つとして、「アセットパートナーズ」(東京都千代田区。16年10月清算結了。以下、アセット略)という不動産会社を挙げ、「アルデプロの利益をこのアセットを噛ませ、抜いている疑惑」を指摘していた。
本稿では、この疑惑を検証した。
まずは、かつてアルデプロと取引していた告発者(仮にA氏とする)の証言を聞いていただきたい。
このA氏、南青山3丁目の地上げの件を手伝ったことがある。確かに、アルデプロは同地の地上げにも関わっていた。
「南青山3丁目のアルデプロが所有していた物件を売却するに当たり、うちが買主との間を仲介したんですが、その手数料の一部を、コンサルティング業務委託契約を結んだことにしてアセットに約4300万円落とせといわれたんです。秋元氏にです。しかし、そもそもアセットは何も仕事をしていない。だから断りたかったんですが、秋元氏に『アセットに落とさないと、アルデとお宅との契約をひっくり返すぞ!』と脅されたので、やむなく支払ったんです。
秋元氏は、『自分の飲み食いの領収証はアセット宛てにしてもらい、アセットで落としている』といっていました」
また、先の業務委託契約書はA氏が出むきアルデプロの本社会議室で作られたという。そしてその際に同席したのは秋元氏、それにアルデプロの椎塚社長だけ。アセットの社長も社員もいなかったという。
「アセットの代表印を椎塚社長が持って来て押印しました。だから、私はアセットは秋元氏の会社という認識です」(A氏)
さらに、本紙はこの契約書コピーを入手しているが、そこにはこの契約書、それに基いて約4300万円を支払うとする「報酬支払い承諾書」、それにこの2つの書面を添付してA氏にメールした記録もある。
そのメールの差出人はアルデプロの椎塚社長で、「お世話様です。南青山の件で、アセットパートナーズに支払う契約書および支払い承諾書になります。よろしくお願いいたします」と記されている。
そして、本紙はこの南青山3丁目のケースのように、アルデプロが不動産を売却ないし購入する前、このアセットが間に入り、同社に「手数料」が落ちるようになっているケースを、冒頭の代々木、南青山3丁目以外にも、渋谷区幡ヶ谷1丁目、中央区の銀座6丁目などでも確認している。