「明治学院」(東京都港区)といえば、ヘボン式ローマ字で知られるアメリカ人宣教師ヘボン博士夫妻が開いた私塾が源流。150年以上の歴史を誇り、わが国最古のミッションスクール。
そんな博愛精神を説く由緒正しい学校法人傘下の「明治学院東村山高等学校」(東京都東村山市)の女生徒(当時)が、いじめに会っていると訴えたにも拘わらずキチンと対策をしてくれなかったとして校長を相手取り、提訴したことは以前、本紙でお伝えしたが、同じく傘下の「明治学院大学」(東京都港区)でも、懲戒解雇された教授が、地位確認と約1372万円の慰謝料を求めて提訴していたことがわかったので報じる。
この訴訟、大学側が教授の授業中に無断で教室に立ち入り“秘密録音”した内容を根拠に懲戒解雇しており、「大学自治」「学問の自由」「信教の自由」にも関わる重大な点が問われているのだが、なぜか大手マスコミではまったくというほど報じられていない。
もっとも、すでに16年12月に提訴され、今年1月25日には証人尋問が行われた。3月26日に最終準備書面を出し結審、5月中に判決が出る模様だ。
原告は愛知大学法学部教授を経て、10年4月から明治学院大学へ移籍、教養教育センターの教授として16年9月まで、教養科目の「倫理学」を教えていた寄川条路氏(56)。
訴状などによれば、被告が懲戒の最大の理由にあげたのは、授業の無断録音の事実を知った原告が誰が録音したか、またその録音を聞かせて欲しいと要求したが拒否されたことから、止む無く授業で配るレポート用紙の欄外に情報提供を求める書き込みをした点。
また、原告の授業は生徒に大人気だったところ、学校側が一方的に300名に履修制限したことから、その是非と理由を問う質問を、生徒向けの授業評価アンケートの質問内容に加えたこと。それから、授業で用いた原告の著書のなかに、キリスト教主義に批判的な内容が一部含まれていたことも懲戒理由としてあげられている。
読者のなかには、原告が政治的発言を行う者だったからではないかと推測する方もいるかも知れないが、原告はそんなことはなく、上記のような行為をしたに過ぎない。