本紙では今年5月23日、「Jトラスト」(8508。東証スタンダード)の藤澤信義社長個人と、同氏がオーナーの男性向け脱毛中心のエステサロン「メンズクリア」を経営する「クリア」が共同で、ネット広告などを手掛ける「サイバー・バズ」(7069。東証グロース)の計5・01%の大株主になった件を報じている。
その記事のなかで、「クリア」は昨年末から今年初めにかけ、あの脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」(東京都港区)の買収を検討したものの、結局、「KOC・JAPAN」(東京都中央区)という、飲食店を中心に2割引きになる「Cクーポン」という決済システムを提供している広告代理業務を行う企業が今年4月1日を持ってミュゼプラチナムを買収したことに触れている。
冒頭に抱げたのは、このKOC・JAPANのHPのお知らせ記事。
そこに書いているように、正確にはミュゼプラチナムの100%親会社「ミュゼプラチナシステムズ合同会社」(横浜市神奈川区)を買収したというのだが、100%親会社だからミュゼプラチナムの経営権を持つという理屈からだろう、ミュゼの美容サービスと連携、ミュゼの商品をミュゼの販売力を活用し、さらには今回のミュゼ買収で600万ユーザーにサービスを展開できると、KOC・JAPANの未来は前途洋々のように謳っている。
だが、これは虚偽と思わないわけにはいかない。
なぜなら、横写真は、このミュゼ100%親会社の法人登記簿だが、KOC・JAPANはわずか1カ月で業務執行社員も代表社員も辞め、4月30日からは別会社「TNC ASSET MANAGEMENT」(東京都台東区)に代わっているからだ。
なお、前の記事では「船井電機・ホールディングス」(大阪府大東市)が1年前にミュゼプラチナムの経営権を30億円ともいわれる額で買いながら手放すか? とも記したが、この親会社もそうだし、ミュゼプラチナムの代表からも船井電機代表の上田智一氏は今年3月29日付で辞任しており、手放していることが窺われる。
それにしても、このKOC・JAPANのお知らせは一体何なのか? いかがわしいこと、この上ない。
だが、いかがわしいのはKOC・JAPANだけではない。ミュゼプラチナムも同様と思わないわけにはいかないのだ。