パチスロ大手「ユニバーサルエンターテインメント」(以下UE略。旧アルゼ。6425。東証スタンダード。東京都江東区)は、昨4月26日、臨時取締役会を開き、富士本淳社長(冒頭写真)の辞任を認容した。替わって、常務だった徳田一氏を代表取締役社長に、取締役だった岡田幸子氏を代表取締役に選定した。
富士本氏は取締役には止まるが、代表を辞任したのは、株主代表訴訟の控訴審判決が4月25日にあり、東京高裁の脇博人裁判長は、富士本氏の善管注意義務違反ないし忠実義務違反を認め、約4349万ドル(約67億円)と年5%の金利の支払いを命じたためだ。
株主は、2012年5月、富士本氏は約4349万ドルを海外送金したが、内部的意思決定手続きを履行せず、かつ、合理的送金理由も認められず、UEに同額の損害を与えたとして、19年8月、東京地裁に株主代表訴訟を提起していた。
だが、22年6月の1審判決は富士本氏の責任を認めなかった。
ところが、高裁は一審判決を棄却、逆転判決となった。
また、この訴訟では、一審提訴時、株主と弁護士(勝部環震弁護士=木原事件の遺族側代理人、ともう1名)2名が司法記者クラブで記者会見を行った(横写真=右端が勝部氏。中央が株主)が、その際、虚偽の事実を含んだ「提訴報告会見概要」を配ったとして、UEと富士本氏個人は、株主と弁護士2人を相手取り、各1100万円、総額2200万円を共同して支払えとの訴訟を提起しており、その件も一緒に審議されていた。1審ではこちらも棄却したことから原告、被告双方が控訴していた。そして、UE、富士本氏の控訴はいずれも棄却された。
まさにスラップ(嫌がらせ)訴訟であることが証明された格好だが、それにしても、なぜ逆転判決となったのか?
なお、本紙はこの株主代表訴訟についても、追加で、UEと富士本氏個人が株主と弁護士2名に損害賠償請求訴訟を提起したことも報じていた。だが、大手マスコミは提訴を恐れてか、この間、まったくというほど報じていなかった(ロイターは報じていた)。