本紙では21年7月、「積水樹脂」(4204。東証1部。大阪市北区)の子会社「積水樹脂プラメタル」(長野県上伊那郡辰野町)が工事現場の防音のために製造・販売する市場占有率90%以上と、その手の製品としては圧倒的なブランド力を持つ防音パネル「ビルガード」(=有料記事部分の下右写真。その左写真がJTCのコピー品。仮設工業会認定の刻印の有無以外、見分けがつかない)の類似品を安価で販売するなどしている中国人の会社があることを告発する3本の記事を掲載した。
ところが、その問題会社「JTC」(千葉県松戸市。千代芸新代表=冒頭写真)は反省するどころか、自分のところはまったく無関係なのに書かれたから名誉棄損だとして、300万円の支払い、記事削除、それに謝罪広告を求めて提訴。
それに先立ち、JTCは21年9月、最初に書いた1本の記事削除の仮処分申し立てを行い、同年11月に「仮に記事削除をする決定」が出て、この1本の本紙記事は見れなくなっていた。
しかし、昨12月12日、千葉地裁松戸支部で判決言い渡しがあり、中直也裁判官は、本紙記事の主要部分であるビルガードの「類似品」(コピー品)の販売をJTCがやっていたのは真実だと認め、30万円の支払い、記事の付属部分の一部削除だけを命じ、謝罪広告掲載は必要ないとした。また、仮に削除されていた一番最初に書いた記事の主要部分は2年ぶりに掲載が復活した。
以下、判決文よりその主要部分を抜粋する。
「ビルガードの類似品の販売について、証拠及び弁論の全趣旨によれば、積水樹脂プラメタルが、ビルガードの類似品が販売されていることについて注意喚起を行い、原告(=JTC。編集部注)が、積水樹脂プラメタルとの間で、ビルカードの類似品を販売していたことを認めて示談したことを認めることができる。したがって、原告がビルガードの類似品を販売して積水樹脂プラメタルの特許権ないしは意匠権を侵害したことは真実であり、知的財産権の侵害行為を報道することについては、公共の利害に係る事実であり、公益目的を有すると認めることができる」。