中古車販売大手「ビッグモーター」(東京都港区)の創業社長だった兼重宏行氏が保険金不正請求問題で記者会見した際、「車を傷つけた従業員の刑事告訴」と息巻いた(会見の最後に撤回)のはご存じの通り。
従業員の責任であって、経営者に非はないといわんばかりの会見内容が世の反感を買って、一層、同社のイメージ・ダウンに繋がっている。
この会見を見て、「山一証券」破たん時(1997年)の記者会見を思い出した。当時の野澤正平社長は、「社員は悪くない!」と号泣しながら発言。そのため、逆に世の同情が広がり、従業員の転職がかなり容易だったと聞く。えらい違いだ。
また、このビッグモーター社長の会見でやはり筆者が思い出したのは、1991年、債務超過にあった「三和信用金庫」(東京都中野区)が東海銀行に譲渡された件だ。当時は破綻扱いではなく、日野理事長に多額の売却代金が渡ったといわれた。
その三和信用金庫、債務超過になった要因は4社への貸付が全体の8割も占めたことによる。「最上興産」、当時仕手筋で有名だった「松本英会話専門」など。松本英会話専門は仕手戦の失敗で破綻、最上興産も不動産バブル崩壊で経営が行き詰った。これら過剰融資は、日野理事長の知らないところで常務が独断で行ったというのが日野理事長の説明だった。しかし、知らなかったら最上興産の息子が三和信用金庫に就職するはずはない。こちらは、今回のビッグモーターの社長同様、見苦しいものだった。
この日野理事長、偏波の過剰融資の一方で、入り浸った銀座の高級クラブで飲食代支払いを渋った関係で、黒服氏が刃物を出す事態に。ともかく、ケチだったという。今回のビッグモーターの兼重氏も似てないのか?