賃貸アパート大手「レオパレス21」(8848。東証プライム。東京都中野区)は6月29日に定時株主総会を開催、宮尾文也社長(冒頭右写真)らの続投が承認された。だが、約5年前の施工不備問題是正に加え、新たな疑惑も出て来て、その先行きは決して明るくない。
同社は6月27日、「株式会社TENZANからの提訴請求に対する対応について」なるIRを出している(冒頭左写真)が、これをよく見ればお分かりのように株主代表訴訟を近く起こされることは必至だ。
そのIRの内容は、「TENZAN」(東京都練馬区)なる株主が、レオパレス21の監査役5名、また宮尾社長を含む取締役(元も含む)24名につき、レオパレス21が提訴するように請求したが、同社はこれを拒否。これに対し、TENZANは同社が提訴しない場合、株主として責任追及の提訴をすると予告しているからだ。
その提訴請求書によれば、監査役、宮尾社長を始めとする取締役に関する提訴内容は2件で同じ。その請求額は共に計40億円弱と極めて巨額だ。
もっとも、前出6月27日のレオパレス21IRによれば、提訴請求しているTENZANと同社は訴訟中で、しかも今回の提訴請求内容はダイレクトにレオパレス21とTENZANとの訴訟に関わることから、「責任の追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合」(会社法847条第1項ただし書き)に該当するとして、そもそもTENZANは提訴請求できないと主張している。
レオパレス21とTENZANの訴訟内容が、今回のTENZANからの請求内容と重なるのは確かに事実だ。だが、TENZAN側はこれまで長らくレオパレス21と取引関係にあり、しかもTENZAN側がダイレクトに関与していただけに、その疑惑の内容は極めて具体的で信ぴょう性は高いと思われる。
それだけに、提訴が認められれば、レオパレスにとってはかなりの打撃になる可能性が高いと思わないわけにはいかないのだ。
具体的にいえば、40億円弱の内約35億円に関しては、レオパレス21はコスト削減のため、家電リサイクル法に違反し、長年に渡り外部業者に丸投げしていたと思われる金額に当たる。