4月3日、「野村證券」は炭素製品大手「東海カーボン」(5301。東証1部。東京都港区)のレポートを出したが、黒鉛電極の市況が中国勢の増産で悪化するという内容だった。
それまで市場関係者は黒鉛市況好況を疑っておらず、実際、東海カーボンは上方修正を出していた。しかし、野村のレポートを受け、翌日の黒鉛電極メーカーの株価は軒並み暴落。「東海カーボン」1392円(-267)、「日本カーボン」4625円(-835)、「日本電産」3895円(-635)と急落。ここまではレポートを受けての売りでよくあることだ。
しかし、野村證券はこの後数日続く安値で東海カーボンを買い増ししてたのだ。4月21日の大量保有報告に始まって、5月21日7・19%→7・56%保有に増加、7月20日には7・06%→7・88%(内訳は野村證券0・04%、野村インターナショナル1・01%、野村アセット6・83%)。5月には大和、ゴールドマンが東海カーボンのレーティングを引き上げ、岩井コスモも目標株価2100円に引き上げ。そして各社アナリストの予想通り、8月7日の決算は空前の好決算を発表した。