7月20日の「読売」1面トップの報道を契機に、大手マスコミは一斉に東京五輪・パラリンピック組織委員会元理事・高橋治之氏(78。EIE元社長・高橋治則氏の兄)の収賄疑惑を報じている。
読売報道によれば、高橋氏は理事に就いていた2017年9月、自身が代表を務める「コモンズ」(東京都世田谷区)というスポーツ関連コンサルなどを行う個人会社と、紳士服大手「AOKIホールディングス」(神奈川県横浜市)側とでコンサル契約を結び、21年の東京五輪閉幕ごろまで毎月100万円、総額で少なくとも4500万円以上を受領。だが、このコンサル契約は実態が乏しく、実際は高橋氏への資金提供、すなわちワイロだった疑いがあると見て、すでに東京地検特捜部は今春以降、関係者から事情聴取を行っているという。
五輪組織委理事は「みなし公務員」なので、事実なら刑法の収賄罪に抵触し得る。
それにしても、組織委はすでに今年6月末で解散している。
また、本紙でも既報のように、東京五輪招致に関しては(13年9月決定)贈収賄疑惑が出て、フランス警察が18年12月、東京招致委員会理事長だった竹田恒和氏の捜査開始を決定。その際に高橋氏の関与も出ていたが、わが国当局はまったく動かなかった。
それが、今ごろ五輪招致よりセコい贈収賄疑惑(AOKIは18年10月に組織委とオフィシャルサポータ契約。五輪エンブレム入りのスーツやジャケットを販売)ながら、ここに来て表面化したのは安倍晋三元首相の死で重しが取れたとの見方が出ている。