アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「アサヒ衛陶」を“乗っ取った”星野会長と、介入する反市場勢力など

 衛生陶器、水栓金具中堅「アサヒ衛陶」(5341。東証2部。大阪市中央区)が約1億5000万円の第三者割当増資と、すべて行使されれば約3億円となる新株予約権(行使価格は557円)を発行したのは20年9月のことだった。(下写真=アサヒ衛陶の株価チャート)
希薄化率は第三者割当分だけなら13・1%、新株予約権すべて行使なら第三者割当分も併せると約35%と3分の1以上。とはいえ、過半数を握ったわけでないこともあり、新たに株主になった星野和也氏(9・66%保有も、現在はすべて売却)はいろいろ新規事業提案をしたものの悉く受け入れてもらえなかった模様だ。
そこで、星野氏は21年10月に入り、石橋孝広社長ら当時の経営陣の解任を求め臨時株主総会の招集許可申立てをさせて揺さぶりをかける一方、現業務執行取締役の事業への継続関与というアメをブラさげた結果、11月に入り、石橋社長ら当時の経営陣は全員辞任することに(石橋氏は執行役員兼営業部長として残るなど)。
そして11月26日に星野氏は代表取締役会長に、尾端友成氏が代表取締役社長に就くなど経営陣が総入れ替えになった。
アサヒ衛陶は1950年設立。衛生陶器の製造をコアに事業を開始し、その後、住宅設備機器全般に事業を拡張し1967年に神戸証券取引所(現・東京証券取引所)へ上場した歴史あるキチンとしたメーカー。しかしながら、15年11期以降、急激な円安や海外サプライヤーからの値上げ、ホームセンター向け販売における競合他社との価格競争などの結果、5期連続赤字で「疑義注記」に。
運転資金も厳しくなるなか、2度新株予約権を発行したものの、株価低迷で行使が進まないなか、新たなビジネスの取組、海外事業の拡大展開への役割が期待できるということで、前経営陣は退いたのだった。
 だが、本当に星野会長ら新経営陣の下でアサヒ衛陶の再建は可能なのか?
本当に期待出来そうなら、本紙は記事にしない。
記事にし、しかもタイトルに星野会長が“乗っ取った”という表現をあえて使ったのは、公的性格の強い上場企業を、私利私欲のためのハコとして悪用しようとしているのではないかと懸念する情報が入って来たからだ。
その裏づけの一つが、星野会長はわかっていながら“反市場勢力”といってもいい過去のある2人を招き入れているからだ。
1人は、上場企業への資金注入の仲介などで行政処分を受け、もう1人は執行猶予中の身と来ている。
なお、この星野会長、本紙では昨年11月、「シー・ティ・エヌ」の詐欺事件の被害者として紹介している。「中小企業ホールディングス」(1757。東証2部。旧クレアホールディングス)の取締役もしている。また、昨年、本紙記事削除の仮処分申立を行った公認会計士・能勢元氏が実質、オーナーと見られる「White Knight Investment Limited」(ホワイト ナイト インベストメント リミテッド)から「マーチャント・バンカーズ」(3121。東証2部)の新株予約権の一部を引き受けた人物でもある。そして、能勢氏はこの間のアサヒ衛陶“乗っ取り”の過程で星野会長の相談に乗ってもいる。

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