中国家電小売り「ラオックス」(8202。東証2部。羅怡文会長=冒頭写真。東京都港区)は12月2日、主要株主である筆頭株主「GRANDA GALAXY LIMITED」が保有していたラオックスの全株式34・51%を、シンガポールの投資ファンド「グレニッチ・インベストメント・ホールディングス」に売却したことをIRした。
GRANDAの親会社は中国家電量販大手「蘇寧電器」(=蘇寧易講。中国江蘇省南京市。深セン証券取引所上場)。
この蘇寧電器は別会社「GRANDA MAGIC LIMITED」でも約30%のラオックス株を所有しており、これによりラオックスから完全に手を引いたわけではない。
だが、関係者の間では、今後その方向で進むのではないかとの見方も出ており、シンガポールの投資会社が筆頭株主になった衝撃は大きい。
ラオックスは1976年秋葉原発祥の老舗家電量販だが、経営不振のなか、2009年に中国の同業大手・蘇寧電器傘下となり、中国人観光客向けの免税店に完全に業態転換していた。
もっとも、今回の蘇寧電器の持ち株売却は、コロナ禍で中国人観光客が来なくなりラオックスが大幅赤字が続いたからというより、親会社の蘇寧電器本体が厳しいためとの見方もある。
そして、そのことと、近年わが国株式市場で、経済安保の観点からも注目された「東京機械製作所」(6335。東証1部)始め、中国系仕手筋の動きが目立つが、それにも影響を与えるのではないかとの見方も出ている。
(上右写真=ラオックス株価チャート)