今年1月25日、本紙では、本紙・山岡が雑誌に書いた「建設労働者の退職金共済制度」の記事を紹介している。
3K労働の典型とされる建設業の現場労働者も退職金をもらえるように1964年、「建設業退職金共済(建退共)」という制度が出来た。これは事業者側が雇った労働者に1日枚に310円の共済証紙をくれ、これを溜め、退職時にその証紙分の金額をもらえるというもの。
その原資は、公共工事の場合は我々の税金。民間工事の場合は事業者の負担となるが、①証紙代分は全額非課税、②建退共に加入すると公共工事受注に有利――といったことから、今では業者の8割以上が建退共に入会し民間工事でも証紙を出しているとされる。
しかし、その一方で、この証紙を発行しながら労働者に渡さず換金するなどの“公金横領”がかなり横行していることを記事では紹介していた。
本紙・山岡はその記事を書くまで建退共の存在すら知らなかったが、実際に横領疑惑があると当事者の告発を受け記事にしたものだった。
そこで、その疑惑が出ているK社に具体的な「質問状」を出していた。出したのは昨年12月9日のこと。18日までに回答を求めたが、まだ事実確認が取れないということで12月25日、今年1月20日と2度に渡り延期された末、回答期限を過ぎた1月23日に冒頭のようなFAX文書が送られて来た。
そして、それから1カ月半以上経過した未だに何ら返事も連絡もない。
このK社、東京五輪のメーン会場となる国立競技場の仕事も受注。しかも、その現場でK社社員は、様々な職人のトップである職長会会長まで務め、「読売」で記事になっている。そのK社が、本当に証紙をキチンと出していないのが事実なら、「絆」などまやかしといわざるを得ないではないか。
そこで、以下、そのK社につき実名公表すると共に、K社が答えない疑惑の内容を紹介する。