アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「Nuts」偽計事件、いよいよXデーへ(下)「誰が偽計に関与したのか?」

 1月23日に報じた(上)では、昨年10月に上場廃止になり、今、当局が金融商品取引法違反(偽計)で捜査している「Nuts」の会員制医療施設会員権販売を巡りかなりの売上があるとの虚偽情報開示を行ったことにつき、なぜ、そんなことをしたか考える上で、森田浩章氏(冒頭写真)が同社の最後の社長に就いて以降の株価の推移を、2度の増資を交えて振り返った。
なぜなら、偽計=株価高騰に繋がるからだ。
実際、偽計が表面化し、Nutsが設置した外部調査委員会の「最終報告書」で、同委員会は「偽計」に限定せず、相場操縦と密接な関係にある「風説の流布」に関する事実関係も含めて調査対象にしたと述べている。
そして、同報告書は結論として、「偽計」、「風説の流布」に当たるものと認められるし、(1)で触れた「イブキジャパンファンド(Ibuki Japan Fund)」(ケイマン諸島)が引き受けた新株予約権の行使を促し、もってNutsの資金を得るために、知人などに協力を要請し、本件架空取引IRを開示したと断じている。
本紙も森田社長が偽計に関与したのは間違いないと思っている。
問題は、森田氏に協力した者が誰かだ。
(1)では、「途中でSESCの見立てが変わり」捜査が延びた旨も述べた。
これは当初、SESC(証券取引等監視委員会)は森田氏の協力者は長谷川隆志氏と見ていた。協力者というより、長谷川氏こそが首謀者で、森田氏をNutsに送り込み指示を出していたと見ていたからだ。
森田氏は2016年5月、3億1500万円分の増資を引き受け社長になるのだが、そのうちの2億円は長谷川氏が出していたし、同年11月、森田社長下で長谷川氏は新株予約権引受け筆頭株主へ。力関係は完全に長谷川氏が上だったのだから無理もない。前出「最終報告書」も「Nutsとしては、a(*=長谷川氏)に対して、当該流出資金の返還を求めるべきである」で締め括っていた。
しかし長谷川氏も事情聴取、またカネの流れなどを洗うなかで、長谷川氏は大雑把な性格で、株にも詳しくなく、資金手当て以外はほぼ丸投げしていた。また、本気で医療事業を進めようとしていたことも判明し見方を変えたようだ。では、他に誰がいるというのか?
そこで、本紙が取り上げたいのが、米ラスベガスのカジノでNutsのカネ5000万円をすった件だ。「最終報告書」の25頁の不適切な費用支出のところにも出ていた。

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