アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「Nuts」偽計事件、いよいよXデーへ(上)「誰が偽計に関与したのか?」

昨年10月3日に上場廃止になった「Nuts」。
同年9月16日に破産開始決定を受けてのことだが、同年2月27日、証券取引等監視委員会(SESC)は金融商品取引法違反(偽計)で強制調査。簡単にいえば、Nutsはジリ貧のパチンコ事業から富裕層向けの会員制医療施設事業にシフトしようとするなか、その会員権が実際にはまったく売れていないにも拘わらず好調で、19年2月に出した19年3月期の業績予想は前年比売上高が10倍以上になるなどと虚偽のIRを出していたというもの。このIRを受け、同社株価は3倍以上に急騰していた。
強制調査(6月に株式ブローカー事務所なども追加)を機に、Nutsは外部調査委委員会を設置。破産開始決定と同日にその「最終報告書」が出ていたことから、関係者の間では、会員権売り上げは実質まったくのゼロで、もはや上場維持は断念、ならば余りのそのデタラメさの公表を少しでも先送りしようと、今回の偽計に関わった経営陣らが自ら引導を渡したとの見方が専らだ。
これだけのデタラメを行った以上、株式市場の信頼性を取り戻すためにも、一罰百戒と、Xデーが来るのは必至と見られる。
当初は昨年10月ごろとの見方もあったが、途中でSESCの見立てが変わり、結局、SESCから東京地検特捜部に上げられたのが昨年10月。そしてもはや捜査は終えており、早ければこの1月中と見る関係者もいる。
それにしても、なぜ、Nutsはあれほどのデタラメな会員制医療施設の会員権販売売り上げをIRするに至ったのだろうか。
パチンコ事業が不振を極め、「継続疑義注記」となり窮地にあったNutsに、最後の社長となった森田浩章氏(横写真)が第三割当で3億1500万円を資金注入したのが2016年5月のこと。6月に社長に就くや、同年11月までの間に第三者割当で計13億円以上を調達。そのお陰で翌17年1月には「継続疑義注記」を解消。
そして17年5月に定款を一部変更し「医療に関する事業」などを入れることをIRする。10月には医療関連事業へいよいよ新規参入するとして専門の子会社「ヴィデビムス」(その後「ソルシア」に社名変更。東京都港区)の設立をIR。その代表に就いたのは加藤友朗氏。米コロンビア大学教授にして同大付属のニューヨークの病院の外科部長。「奇跡の技を持つ外科医」としてわが国テレビにも何度も出演している有名人だ。
こうしたなか、それまで50円を切っていたNutsの株価は順調に上昇。17年中には軽く300円を超えていた。

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