アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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職務怠慢で――林検事総長罷免求め、市民グループが「検察官適格審査会」に申し立て  

10月29日までに、林眞琴検事総長を職務怠慢で罷免するように、「検察官適格審査会」(検適)に申立書が提出されていたことがわかった。
提出したのは、福田赳夫元首相の秘書を務めていた中原義正氏を代表とする市民グループ。
同日には司法記者クラブで記者会見し、同記者クラブ所属記者の多くが取材はしたものの一切報じていない。
ご存じのように、安倍首相(当時)の信任厚い黒川弘務東京高検検事長(同)が有力視されていたが、例の賭けマージャン問題発覚で辞任(5月26日)したことから、林氏が7月17日に検事総長に就いた。
これにより、「桜を見る会」の疑惑を巡り、安倍前首相に対する公職選挙法違反、政治資金規正法違反容疑で多くの告発状が検察に出されているなか捜査が進むと期待されたが未だ放置している。また河井夫婦の公職選挙法違反(買収)の共犯(自民党本部から提供された1・5億円が買収に使われるとわかっていて提供。しかも私憤から溝手顕正氏を落選させるため)、さらにこの1・5億円の一部が安倍事務所側に還流したとされる本紙スクープ疑惑(横領罪)に関してもすでに告発状が出ているが、検察は自民党本部も安倍事務所も家宅捜索しない。
 そこに持って来て、『週刊新潮』(9月24日号。3頁。横写真)で、林検事総長の就任祝宴で、検事総長秘書官がセクハラ事件を起こしていたがこれを内々に処理していたことも発覚。
こうしたことから、職務怠慢は明らかだとしている。
この検適、警察への告訴などと違い、申し立てを行った以上、受理になり審査会は開かれる。しかも、怠慢とされているのは検察の職務である「権力者の監視」で、それも最大の権力者だった安倍前首相に関することだ。
実際、代表の中原氏が11月9日、直接電話して確認したところ、担当の法務省大臣官房人事課は「確かに申立書は受理した」と。ただし、「今、委員の一人だった平沢勝栄復興相の後任人事をしているところ」との回答を得たことから、中原氏は「平沢後任人事を理由に開催を遅らせるようなことは反対である。急いで対応するように強く求める」との意向を伝えたという。
この申し立てのもう一人の代表である政治評論家の本澤二郎氏はいう。
「私もこんな国民にとって心強い制度があるとは知りませんでした。中原さんがその存在を知っていて、マスコミにも期待できない以上、我々市民でやろうと。実際、この申立の件を報じてくれたのは『日刊ゲンダイ』だけ。なぜ、全国紙などは司法クラブで話まで聞いて一切無視なのか? 検事同様、上の方ばかり見る“ひらめ記者”ばかりになってしまったのか? 本当に情けないですよ」。
 検適は1948年に設置され、検察官が職務執行に適しているか審議する法務省管轄の組織。全検察官を対象にした「定時審査」の他、今回のような申立て(法相の場合も)を受けての「随時審査」もある。11人から成り、衆議院議員4人、参議院議員2人、最高裁判事1人、日弁連会長1人、日本学士院会員1人、学識経験者2人の構成。

〇記者会見映像(IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=hjQEDYqsClc

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