アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

「スペースバリューホールディングス」にスラップ訴訟を仕掛けた2代目社長の代理人は、あの著名弁護士

「スペースバリューホールディングス」(本社・石川県金沢市。以下SVH略)はプレハブハウス販売や立体駐車場事業を営む「日成ビルド工業」などのホールドカンパニー。2年前まで上場していた「日成ビルド工業」の社名の方がわかりやすいかも知れない。売上高約855億円(20年3月期)を誇る歴とした東証1部上場企業(1448)だ。
そのSVHは今年7月14日、5月29日付けで金沢地裁に、取締役3名に対し総額2億1710万円の損賠賠償請求訴訟が提起されたとIRした。さらに8月12日、前出の3名の被告に対し総額17億670万円の支払いを求める株主代表訴訟も提起され、SVHは被告側に補助参加するとIRした(提訴裁判所、提訴日は損害賠償請求訴訟と同)。
この2つの訴訟を起こしたのは誰かと思ったら、「森岡インターナショナル」(金沢市)と森岡篤弘氏(=冒頭写真)個人。
森岡インターナショナルの代表は森岡氏。そして、この森岡氏は19年4月18日までSVHの2代目社長だった。SVHは森岡氏の父親が創業、その父が1998年に死去して以来、20年以上森岡氏は社長の座にあった。また、そういう関係から現在も森岡インターナショナルはSVHの筆頭株主(6・4%)、森岡氏個人も2%の大株主だ。
なぜ、今回の提訴になったのかというと、昨年、マレーシアの連結子会社で資金使途不明などの疑惑が出て決算延期となり、その疑惑解明のために第三者委員会が設置され、その調査報告書が19年4月11日にIRされた。現在も4月12日付で再掲載されているが、その内容は森岡氏と反社会勢力との密接交際、粉飾決算の指示、女性関係など記載されており、森岡氏の名誉が毀損されただけでなく、SVHの信用棄損にもなり株価下落の損害を被ったからという(損賠賠償請求訴訟の方で、原告はSVHに対し第三者委員会の報告書の名誉棄損とする部分の削除を要求。被告が取締役三名なのは、必要ない第三者委員会設置を決めたからとしている)。
 しかしながら、この第三委員会の設置は19年3月11日の取締役会で決議され、その際の議長は森岡氏自身なのだ。また、森岡氏はそのIRが出る直前の4月10日に平取締役になり、前述のように19年4月18日に取締役も辞任しているが、同日のそのSVHのIRを見ると、辞任の理由として、「取締役 森岡篤弘氏より、第三者委員会の調査結果を踏まえ、経営責任を重く受け止め、本日付で取締役を辞任したい旨の申し出があり、当社はこれを受理いたしました」と記されている。
これでなぜ、今回の提訴なのか?
そこで本紙が注目するのが、この2件の訴訟、代理人はあの著名な河合弘之弁護士(76。=横写真の右人物。左はルポライターの鎌田慧氏)と、同氏が率いる「さくら共同事務所」(東京都新宿区)の2人の所属弁護士という事実。
かつてはダグラス・グラマン事件を皮切りに、平和相互銀行事件、金屏風事件、イトマン事件などを手がけ、敏腕弁護士として政財界でも著名な存在。そして東日本大震災後は原発訴訟をリードし脱原発弁護団全国連絡会共同代表を務める大物弁護士なのだ。

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