本紙は、出前仲介サイト「出前館」を運営する「出前館」(2484。JQ。大阪市中央区)が、通信アプリ大手「LINE」(3938。東証1部。東京都新宿区)と業務提携を結ぶと共に、LINEとその関連ファンドに総額約300億円の第三者割当増資を行うことを明らかにした3月下旬、この第1弾記事を出している。
その記事の狙いは、この業務提携、増資に関することではない。
第1弾記事後、LINEは予定通り4月24日に約300億円全額振り込み完了し出前館を子会社化。そして来る6月12日開催予定の臨時株主総会を経て、出前館の社長にはLINEから藤井英雄執行役員が就任、そして現社長の中村利江氏(冒頭写真)は会長になり、この代表取締役2人体制で、押されているウーバーイーツに対抗して行くことになる。
そして、本紙記事の狙いは、その一方の中村社長がこのまま代表取締役として続行して果たしていいのか、という重大疑惑に関することだ。
2016年10月、出前館は初めてLINEと業務提携。そして中村社長が代表を務める「キトプランニング」(東京都中央区)という有限会社で保有していた13・1%分と、個人投資家保有の9%弱の出前館株式をLINEは取得(これによりLINEは約22%で筆頭株主に)。キトは社は23億7600万円の売却益を得た。
もっとも、このキト社は中村社長と、「DAWN CAPITAL」(東京都港区)という会社が50%ずつ株式保有。そして、そのDAWN社の株を当時握るのは、出前館の創業者・花蜜幸伸氏の債権者だった。
一時は花蜜氏の会社だったが、出前館が「夢の街創造委員会」の社名だった14年6月、相場操縦事件が浮上し同社株価は大暴落。その結果、花蜜氏は多額の借金を抱えることになり、それ以降、DAWN社は花蜜氏の債権者の手に渡っていた。
そこに前述のようにLINEから23億7600万円もの売却益がキト社に入ったものだから、当然ながら、債権者はこの半分の権利があるからと、中村社長との攻防を経て19年8月、DAWN社側の主張が認められキト社に解散命令が。債権者は現金化を試みる。
ところが、以下に述べるような“資金流出”の結果、結局、債権者が手に出来たのは12億円弱でなく約1億1800万円に過ぎなかった。
これに違法性はないのかという重大疑惑だ。
なお、第2弾記事が出るのに第1弾から2カ月近くも要したのは、他の取材にかまけて中村社長への取材を延び延びにしていた本紙の怠慢。お許し願いたい。
そんななかの5月8日発売の『週刊現代』(5月16日)に、まさに本紙が取り上げるこの疑惑の件のさわりが載っていたので、参考までに転載しておく(上左写真)。
さて、正確を期すため、また中村社長の言い分を必ず載せると約束したので、この件に関する「回答書」は、そのまま以下に全文転載する。