■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は20,037円と、先週比-142円安(前稿比+560円→ +357円→ ▲635→ +398円→ +1679→ ▲1569→ +2845→ ▲878→ ▲3318→ ▲393円→ ▲2245→ ▲301)と小幅反落した。土曜日の朝に日経平均CFDを確認すると、20,036円とほぼ同値で引けていた。
NYダウは、週間で+354ドル高(前稿比+607→▲51→ ▲457→ +524→ +2666→ ▲585→ +2463→ ▲4012→ ▲2679→ +456→ ▲358)の23,685ドルと、引けにSQ値が算出されるとあって堅調に終わった。
まずは、いつも通り。新型肺炎(コロナウイルス)の新規感染者数を簡単に見ていく。
米国については、今回からジョンズ・ホプキンス大学の集計値を参照する。4月上旬から、毎日約+3万人もの新規感染者数を出し続けてきたが、NY州が減ったものの、各州で感染が拡がっておりまるで収束する傾向がでない。10日1,329,000M(1329M)→ 11日+19000人→ 12日+22000人→ 13日+20000人→ 14日+28000人→ 15日+25000人→ 16日+25000人。
日本に関しては4月12日に+743人まで増えたものの、5月4日+200人→ 10日+70人 → 11日+50人→ 12日+80人 →13日+57人→ 14日+99人→ 15日+52人→ 16日+59人。
最後に、世界全体の新規感染者数を。5月4日+82602人→ 10日+61578人→ 11日+88891人→ 12日+82591人→ 13日+81576人→ 14日+77965人→ 15日+90269→ 16日+86827人。先進国は止まったが後進国に蔓延し、まだ世界的に感染拡大していることに疑いの余地はない。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。
一言でいうと、株式市場と実体経済の温度差が大き過ぎる。
特に目立つのは、米国ナスダック市場(横写真)。3月19日の底では7000ドルを割っていたのに、現値が9015ドル。先週水曜日には9251まで高値があったが、これはもう2月19日の史上最高値9817ドルが目の前に迫っている。
筆者は、株価が戻るなら、世界をけん引するハイテク銘柄の多くを含有するナスダック市場だとは感じていたが、先週金曜日PM9:30に発表された、4月の「米国小売り売上高」が過去最低の前月比-16.4%、前年同月比-21.9%と発表される中、これを折り込むことが本当に可能なのか!? 大いに疑問を感じている。米国のGDPの7割は個人消費であり、これだけ落ちているということは、生活必需品まで大きく落ちていることになり、そうなればそうなっただけの理由(離職・レイオフ)があるわけで、ここから先、V字回復で経済が一気に好転するということは考えにくくなる。そもそも、米国は感染拡大がまだ止まっていない中なのだ。
筆者の結論としては、いま株式市場は、金融緩和のしすぎで、マネーがだぶついておりラリっている状況だと判断したい。
そこで、ここからの相場で絶えずみておきたいのは米国「ラッセル2000(小型株)」チャート。この指数は小型株の集合体であるがゆえに隅々まで資金が入ってきているかが分かりやすく、リスクオフの際の逃げ足が速く、株式市場の「カナリア」として大いに役に立つだろう。こちらは、現値が1254だが、1200割れで明確に赤信号が灯もると考えておけばよいだろう。
また、トランプ大統領がここにきて中国批判を強めているのは、株式市場には大きなマイナス要因だ。共和党は5月12日、「新形肺炎(コロナウイルス)の感染拡大ついて中国側の説明が不充分な場合、同国に広範囲な制裁を課す」と、法案を可決している。この後5月14日、トランプ大統領はFOXTVのインタビューで「中国と完全に断交することが可能か?」という過激な発言をしていることからブチ切れる直前であるかのようにみえる。5月15日には、通信機器メーカー・ファーウェイに対する「半導体出荷阻止」の制裁強化を発表し、即刻、中国側は、「強い力で反撃する」と不気味な返答をしている。