アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

新型コロナで売上激減も――「JR貨物」に見る、飲食店を悩ます「不平等」店舗賃貸借契約

終息の兆しの見えない新型コロナウイルスの感染状況下、5月6日とされている「緊急事態宣言」解除さえひじょうに怪しい雲行きだ。(冒頭写真の説明は以下で)
そんななか、ますます追い詰められているのが飲食店経営者だろう。
飲食店経営者の多くは個人や中小零細企業である上、特に都市部の繁華街は著しく土地代が高いため店舗物件は借りて営業しているところがほとんどだ。
しかも、会社用オフィスを借りる場合なら、少々最寄駅から歩く物件でもよしだし、その分、家賃も安くなるが、飲食店の場合は立地の良さが何より重要だから、そんな悠長なことはいっていられない。
つまり、飲食店店舗においては、貸し手が圧倒的に有利であることから、人気の店舗については、「借り手はいくらでもいるから、別にお宅でなくてもいいんですよ」と借り手の足元を見、「不平等」とも思える借り手にひじょうに不利な契約内容になっていることが多いのだ。
この手の事情に詳しいある弁護士は、「多額の保証金を積ませた上、解約予告期間は6カ月が普通。しかも一度借りたら3年間は解約できず、それでも解約する場合にはその間の賃料相当額を払わなければならないというケースもあります」と述べる。
今回の新型コロナ騒動でいえば、わが国政府は金銭補償をしたくないから、ロックダウンにはせず、あくまで自粛のお願いといいながら実質、営業時間は午後7時までを強要している。これでは店の経営は立ち行かない。そして、自粛解除の先行きが見えないなか、店を閉じたいと思っても6カ月前にいわないといけないでは退去費負担(6カ月の家賃負担+内装の撤去費用費等も)が重過ぎておいそれと店を畳むこともままならない。
 このように飲食店経営者にとって「去るも地獄、残るも地獄」の状況のなか、国(国交省)は3月末、各不動産関係団体に対し、テナントの家賃支払い猶予に応じるように要請。そして4月17日には支援策として、そうした場合、貸し手側の税金や社会保険料の支払いを1年間猶予するとしているが、貸し手側も中小の雑居ビルが圧倒的に多くメリットが少ないため猶予するところが少ないとの見方もある。
なお、今回のコロナ騒動は天変地異同様、「事情変更の原則」という救済法理があるとの見方もあるが、実際に裁判をやってみないと救済されるかは分からないとも。
そんななか、中小の貸し手でもなく、株式会社といっても、国策上必要な公共性の高い特殊会社なのに、前述の国交省の支払い猶予要請が出ても知らぬ顔をしていると思われる企業がある。
そこの借り手から本紙に告発があり、借り手がいかに大変か具体的な金額も示せるので、そのケースを以下に見てみよう。
その特殊会社とは「JR貨物」(日本貨物鉄道。東京都渋谷区)のことだ。
国鉄の民営化により、鉄道部門は「JR東日本」などに分割されたが、貨物事業は全国規模での営業を続けることとなり設立された会社。
売上高は1583億円、純利益は73億円(共に18年3月期)。従業員約5400名。上場こそしていないが、大企業だ。
そして、そのJR貨物は貨物事業の他に、遊休地となっていた全国の操車場跡地などで不動産賃貸業も展開している。

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