本紙は、1600人もが所在不明になっていたことから今年6月、文部省が研究生としての留学生受け入れ停止を指導した「東京福祉大学」につき報じたところ、そこの同窓会幹部も関わっているとの情報提供があり、タイの採掘関連会社「ONK」に対する鉄鉱石採掘事業への出資金を募り、日本人約1500人から計300億円ともいわれる資金を集め未返還になっている詐欺疑惑を知った。
この資金集めは2010年末から13年末に行われ、16年9月、出資者の一部が警視庁に告訴したことを大手マスコミが報じた(冒頭右写真=「産経」2016年7月22日。左写真は現場工場)ことで一般にも知られるようになったのだが、取材を進めると、この首謀者と思われる丹羽時寛氏(52。下写真)とその仲間らが、大手電機卸会社を舞台に、新たに「永久発電機」をネタに資金集めをしようとしていることを知り本紙で報じている。
彼らがそんなことができるのは、ONKの件で告訴されたものの、未だ事件化していないからだ。
その大きな要因として、出資者に対し、13年末ごろまで「配当金」と称するものを払っていた事実がある(ただし、その配当金も再投資させられているケースも)。
わずかのカネを短期間リターンすることで、したがって、最初から騙すつもりはなかったとのアリバイ作りは、詐欺師が事件化を逃れるためによく使う手なのだが、この事実に警察も腰が重いようだ。
だが、取材の結果、やはりこの件、詐欺容疑に問われて当然と思われる事実が明らかになった。その他にも興味深い事実がいくつも判明したので追加報道する。
詳細は以下をご覧いただきたいが、詐欺に問われて当然と思われる事実とは、確かにONKが採掘権を有するという鉱山はタイにあるものの、そこから違法鉱物を採掘していたことから、2010年1月、タイ王国法務省特別捜査局(DSI)はその違法鉱物だけでなく、ONKが採掘権を持つ鉱山そのものも差し押さえていたこと。
前述のように、丹羽氏らが資金を集めたのは2010年末から13年末。対して、鉱山が差し押さえられたのはその前の10年1月なのだから、その鉱山から採掘できない以上、利益が出るわけがないではないか。したがって、出資者に支払われていた「配当金」なるものは、多くの出資者から集めたカネの一部を、詐欺に問われないアリバイ作りの目的で“自転車操業”で流していただけと思われる。それなら、まさに詐欺そのものではないか。