5月10日、事業持ち株会社「A.Cホールディングス」(1783。JQ。東京都
港区)は、同日の取締役会において、開催予定の臨時時株主総会の日時変更と、付議議案の追加を決議したとIRした。
臨時株主総会開催日は6月14日に変更。
そして何といっても注目されるのは、A.Cホールディングスが主要子会社「南野建設」による建設・不動産事業、同「A.Cインターナショナル」、「ワシントン」などにおけるゴルフ・リゾート事業に加え、新たに太陽光発電システムの販売を行えるように定款変更、その人材として「エステート24ホールディングス」(大阪市中央区)の秋田新太郎社長(冒頭写真)らの取締役増員を内定したことだ。
秋田社長といえば27歳という若さ、そしてエステート24は創業してまだ4年余りなのに、頭金0円、月々1万円以下でも設置可能を売りにすでに売上高約136億円、経常利益約5億円(12年12月期)と上場企業並みの業績を上げている。太陽光発電ブームの先行きを占う、ベンチャー経営の旗手といわれる。
もっとも、若さ故に脇の甘さもあり、本紙既報のように、融資に際して青山清利容疑者に会社を乗っ取られそうになり、また目新しい太陽光発電事業ということもあり、社会的信用力はまだ決して高くはない。
そこで上場企業の信用力を背景に、さらに太陽光発電事業を伸ばすべくA.Cホールディングスに目を付けたと思われる。
だが、A.Cホールディングスの背後には、「ワシントングループ」社主で、大物仕手筋として知られる老練狡猾な河野博晶氏が控えており、一筋縄ではいかないとの見方もある。
それどころか、秋田氏はこの河野氏(横写真)と連携し、上場企業の“錬金術”で一儲け企んでいるのではないかとの穿った見方もないではない。
若くしてすでに成功しているといってもいい状況へのやっかみ、また本紙でも既報の与沢翼氏のような人物との交流(下写真)がそうした憶測を呼ぶのだろう。
それにA.Cホールディングスは上場企業とはいえ、本紙でも既報のように、同社を舞台にした証券取引法違反(株価操縦容疑)で大物仕手筋だった西田晴夫氏(故人)が逮捕されている。“危ない上場企業”の1つといわれた。
また、いまも背後にいる河野氏は、A.Cホールディングスがいまも約38%を保有する材料試験機・動力試験機の専用メーカー「テークスグループ」(7719。東証2部。神奈川県相模原市)のインサイダー取引などで逮捕・有罪判決を受けた御仁なのだ。
では、こうした懸念に秋田氏はどう思っているのだろうか。関係者が、こう漏らす。
――なぜA.Cホールディングスとの連携なのか?
「今回のA.Cホールディングスとの連携につきましては、同社以外からもオファーがありました。インスパイアー、クレアホールディングス、ゲートウェイホールディングスなどです。太陽光発電事業の立ち上げをやって欲しい、社長をやって欲しいという話です。ですが、実際に在庫を買う資金力があり、本当に太陽光の事業がスタートさせれて株主に喜んでいただける会社というのは、そのなかではA.Cしか無かった結果と聞いています」
――A.Cがどういう会社かわかっているのか?
「現状、無借金で100億程度の資産があります。河野氏との調整さえうまくいけば、本当にいい会社に生まれかわる余地があると思っているようです。河野氏がどういう人物かは、相談に乗ってもらっている方から再三聞いて一筋縄ではいかないと認識しているようですが、やり方次第で可能性があると思っての判断ではないでしょうか」
――もし、結果的に既存株主に迷惑をかけるような事態になった時はどうするのか?「そうした場合には、潔く叩かれることも覚悟しているようです。ただ、秋田は太陽光の事業には無限の可能性があり、誰も考え付かないような壮大な夢を持っています。A.Cの社長になるのか、単にアドバイザリーの社外役員でいるのかは今後の判断でしょうが、いずれにしても一般投資家である株主に大きな還元のできる会社になれるよう、本当の意味での『いい会社』になれるよう頑張っていこうと思っています」
――青山容疑者の乗っ取り事件の処理も、まだ十分に終わっていないのでは。
「そうです。ですから性急過ぎないかとのアドバイスもあったようです。ですが、エステートの社員は青山の一件以降も、1人も辞めずについて来てくれており(しかし、やはり気持ちは不安だらけだったと思います)、そのなかで、こういったかたちで資金力のある上場会社(A.C)の役員をやるということで少しでも皆の不安を解消できるだろうとの判断もあってのことと思います」
というわけで、いまはとりあえず今後の行方を見守ることとしたい。