本紙は3月8日、「毎日新聞記者情報漏洩――なぜか、『週刊新潮』も名前を伏せたフリージャーナリストの正体」なるタイトル記事を報じた。
この毎日新聞記者、大平誠氏(41。社会部)を、毎日新聞社は3月12日付で諭旨解雇したと本日朝刊で発表した(右写真)。また12面には、まるまる1面を割いて「調査報告」を行っている(左写真)。
解雇までした理由は、糸川正晃代議士(国民新党)との取材のやりとりを録音したICレコーダーを糸川代議士の了解を得ることなく、元暴力団組長の山本集氏に渡したことが守るべき一線を越えたためとしている。
確かに、建前上はそうだが、しかし、現場で難しい調査報道をしようと思えば、ネタ元との関係でぎりぎりの選択を迫られる場合もある。しかも大平記者は他の者へ情報を流さないことを何度も頼んでいるし、山本氏も流出させたうかつさを謝っている。また、こんな事例が少なくとも発覚したのは大平記者の場合始めてのこと。それでいきなり解雇との処分には現場からも異論の声が聞かれる。
そこでフリージャーナリストで、こうした問題に詳しい寺澤有氏(横写真)に今回処分について意見を聞いてみた。
「音声録音データまで渡したことは、取材の脇が甘かったのは間違いない。しかし、太平さんはサーベラスの悪事を暴こうとしたわけで、それがこの結果では何とも報われないというのが率直な感想ですね。