アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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200億円(?)の資金はどこに消えたのかーー海外FX「GEMFOREX」。存在しなかった1000億円M&A(第2回)

この連載第1回目では、海外FX「GEMFOREX」(ゲムフォレックス)の出金停止と、運営関与者から国会議員への政治献金の「時間軸の一致」につき報じた。今回はもう一つの事実ーー返金の切り札とされた巨額M&Aが、そもそも存在しなかったことにつき振り返っておきたい。

GEMFOREXが顧客資金の返還策として2023年8月に公表した「6億5000、万ドル(約924億円)でのM&A」。その譲渡先である「GalaxyDAO」の所在国も、登記情報も、代表者名も、公表から2年半過ぎた今も、一つとして開示されていない。そして2026年2月、運営側はサービス停止と同時に、こう言い放った。「M&Aは成立しなかった」――。
つまり顧客は、正体不明の譲渡先と、入って来るはずのない譲渡対価を信じて待たされ、その間に資金を無価値同然のトークンへ替えられ、最後はサービスごと消された。「資金はどこへ向かったのか」――前回の問いに対する、最初の答えがこれである。

■1000億円という数字の異様さ

GEMFOREXが掲げた6億5000万ドルは、当時のレート(2023年7月31日、1USD=約142.26円)で約924億円。これがどれほど現実離れした数字か、同時期に国内で実際に成立した大M&Aと比べれば一目でわかる。

| 案件 | 金額(報道ベース) |
| — | — |
| NTTドコモによるマネックス証券の連結子会社化 | 約485億円 |
| MUFGによるauカブコム証券のTOB | 約800億円規模 |
| ヤフー系FX事業のGMOによる買収 | 約290億円 |
| SBIによる新生銀行のTOB | 約1,169億円 |
| GalaxyDAOによるGEMFOREXの買収(GEM側発表) | 約924億円 |

NTTドコモ、三菱UFJ、SBI――日本を代表する企業が上場会社を相手に動かす規模の資金を、正体不明の暗号資産業者が、無登録の海外FX業者(横写真)に支払う。そんな買収が成立する余地は、常識的にない。そして現に成立しなかった。

■「GalaxyDAO」とは何者だったのか

譲渡先とされたGalaxyDAOについて、公表からこの記事執筆時点まで、確認できた事実は一つもない。列挙する。

– 会社登記が確認できる国名・州名が示されていない
– 本社所在地が公表されていない
– 代表者の氏名・経歴が一切開示されていない
– 6億5000万ドルの資金調達源が示されていない
– 実績を示す監査済み財務情報が存在しない
– 1000億円規模のM&Aであれば必ず出るはずの、業界専門メディアによる第三者報道が一切ない

約1000億円のM&Aであれば、買い手の所在地・代表者・主要株主・資金源について、最低限の開示が行われて当然だ。ところが、それらが何も公表されず、会社の輪郭すら描けない法人を「譲渡先」として顧客に提示すること自体、始めから顧客に返金する気などなかったことを物語っている。
そして実際、譲渡対価が顧客に渡ることはついになかった。

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