
瀬戸内海に浮かぶ島で3番目に大きい「周防大島」(山口県大島郡周防大島町)の町民有志が、町立「橘医院」に勤務する歯科医師と病院管理者に、町(藤本淨孝町長=冒頭左写真)は3000万円連帯して払えと請求するように求めた住民訴訟につき、広島高裁は2月26日、一審の山口地裁判決を取り消し、同地裁に審理を差し戻した。
本紙がこの問題に関心を持ったのは、この住民訴訟を起こした中心人物から報道してくれと連絡があったことが契機。
3000万円の根拠は、こういうことだ。
町立「橘医院」に2001年4月から勤務する右田泰之歯科医だが、疑惑が発覚した2021年10月まで、実に20年にも渡り、「歯科金属スクラップ」(右写真はイメージ。以下、スクラップ略)の売却代金を町に納めていなかった。
スクラップとは、歯を抜いたり、被せ物を外した時に生じる金などの貴金属を含む有価物。一般には容器に貯め年に1、2回、業者が買い取る。
実際、疑惑発覚で町が橘医院のスクラップを回収したところ5・3㎏あり、しかしそのなかに金歯、金冠(換金性の高いもの)は一見して含まれていなかったが、それでも買取額は約1005万円になった。
しかし、20年でたったこれだけのはずがなく、専門家が推定するに20年だと約30㎏にはなるという。したがってどんなに低く見積もっても3000万円(5・3㎏分で推定すれば約6000万円?)は下らず、右田歯科医はスクラップを横領していた可能性があるから、その分を支払うように町が命令を出せというわけだ。病院管理者にも連帯して町は支払い命令を出せというのは、この間の管理責任があるからだ。
ところが、2024年2月にこの住民訴訟を起こしたものの、山口地裁は昨年8月、住民監査請求の期限(財務会計上の行為があってから1年)を過ぎているなどの理由で「門前払い」していた。
だが、今回、広島高裁は、歯科医師に横領行為があったとして、その行為は財務会計上の行為でなく、したがって1年ルールに縛られないので審議をとなったわけだ。
小さな町の出来事で、誤解を恐れずにいえば、金額も多額でなく重大犯罪といえないかも知れない。だが、これは事実ならリッパな公金横領だ。
しかも、後述するようにこの疑惑、住民訴訟を起こす前に、住民有志はいろんな手を尽くして来ていた。ところが、政治力のせいではと思える不可解な出来事もあった。にも拘わらず、住民有志は諦めず、4年間も活動を続け、それが今回の一審判決取り消しに繋がった。
とはいえ、この件、報じているのは地元メディアだけだ。
そこで、まだ遅くはないと、本紙でも報じることにした。



