筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。
伝説の鬼才・長谷川和彦が亡くなった(通称ゴジ。享年80歳)。映画監督としてはデビュー作の『青春の殺人者』(1976年)が『キネマ旬報』ベストワンになったことをはじめ、水谷豊(当時24歳)が主演男優賞、原田美枝子(当時17歳)が主演女優賞など、大評判だったのを覚えている。続く第2作『太陽を盗んだ男』(1979年)も、ジュリーが主演で原爆を製造した高校教師が日本政府を脅迫するという荒唐無稽なストーリーが斬新で、『キネ旬』2位(「読者選出」では1位)でこれまた大評判。
それからディレクターズ・カンパニーをつくったり若手を育成したりゴールデン街でケンカしたり飲酒運転で交通刑務所に入ったりと何かと話題になったが、3作目の話が出ては消え出ては消えでとうとうあの世に行ってしまった。特に連合赤軍には相当こだわっていたが、結局、若松孝二や高橋伴明が手がけてしまった。ゴジだったらこの壊れた世界に風穴をあける映画がつくれると思っていたが残念なり。
『青春の殺人者』は水谷豊が自伝でも語っているけど、低予算の苛酷な現場だったようだ。当時は、テレビ『傷だらけの天使』でショーケンの弟分の役で注目され、ゴジもショーケンを通じて起用したらしい。共演の原田美枝子も新人で、両親殺しと逃亡という凄まじいストーリーに応えた2人の熱演とゴジの斬新な演出は今観ても色褪せてない。



