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■ 全国対応モデルの裏側で広がる「下請依存構造」
全国展開する大手給湯器交換業者の多くは、すべての工事を自社社員で完結させているわけではない。
自社で行うのは営業・受注・広告ぐらいで、現場での実際の給湯器交換は下請け業者が担うのが一般的だ。
この構造自体はめずらしいものではない。
しかし、ここに法令遵守の歪みが生じるケースがあると、複数の関係者は指摘する。
給湯器交換工事では、必ず撤去された旧給湯器が発生する。
これは産業廃棄物処理法上の「産業廃棄物(主に金属くず等)」に分類される。
ここで重要なのは、これはただの「ゴミ」ではないし、「お客様の私物」でもないという点だ。
給湯器を撤去した瞬間から、事業活動によって発生した産業廃棄物として法律に基づく厳格なルールが適用される。
■ 産業廃棄物の基本ルール
産業廃棄物には、厳格なルールがある。
① 収集運搬には「許可」が必要
産業廃棄物を運ぶには、都道府県ごとの「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要になる。
ポイントは、積み込む県と運ぶ県、処分する県と、それぞれに関係する許可が必要ということ。
たとえば、大阪府・奈良県・岡山県の許可しか持たない業者が、それらの現場で撤去した廃棄物を、この3府県以外に持ち込んで処理することは認められない。
許可は都道府県単位であり、「どこかで許可を持っている」では足りない。「積み込み地」と「持ち込み地」双方の許可が必要なのだ。
② マニフェストは「義務」
産業廃棄物には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)という制度がある。
これは簡単に言えば、「誰が出して、誰が運び、どこで、どう処分したか」
を書面(または電子)で記録し、追跡する仕組みである。
出した人(排出事業者)、運んだ人、処分した人のすべてが確認できなければならない。
マニフェストが無い=適正処理されていないと判断されるのが、現在の運用だ。
■ 「下請けに任せていた(丸投げ)」は通用しない
全国対応を謳う大手給湯器交換業者の多くは、 工事をエリアごとに下請け業者に委託している。ここでありがちな誤解がある。
「実際に運んだのは下請けだから」、「現場対応は下請けの責任では」という考え方だ。
しかし、法律上は発注権限を持つ元請けの大手給湯器交換業者が責任主体で、産業廃棄物の管理責任も元請けに及ぶとされる。
丸投げはできない。知らなかったでは済まされないのだ。
さらに、工事体制そのものにも別の法的論点が存在する。
建設業法では、元請が工事の全部または主要部分を実質的に下請へ一括して委ね、施工管理や責任を負わない形態は、いわゆる「丸投げ」に該当し、原則として認められていない。
「契約書上は業務委託である」とされていても、元請が現場管理を行わない、施工判断を下請け業者に委ねている、下請け業者は是正・改善の権限を持たないといった実態があれば、実質的な丸投げと判断される可能性があるとされている。



