『週刊文春』が昨年末に報じた林芳正総務相の、一昨年の衆議院選挙(山口3区)を巡る運動員買収や選挙運動費用収支報告書の虚偽記載疑惑は、12月1日、広島地検に、陣営の出納責任者に対する公職選挙法違反(買収、虚偽記入)容疑などで告発状が出される事態となっている。
こうしたなか、12月25日、林氏の陣営はこの選挙運動費用収支報告書につき、山口県山陽小野田市の13人に支払ったとする計13万円は誤りとして訂正。翌日の記者会見で、「林総務相 辞任を否定」と大手マスコミでも報じられている(冒頭写真は「毎日」12月27日)が、これは決してオーバーな表現ではない。
『週刊文春』の5度に渡る追及記事に目を通すと、さすがに一般有権者にカネを渡して投票をお願いしていたわけではないものの、林氏陣営の選挙応援の手伝いをする多くの者に、公選法では基本、ポスター貼り、ハガキの宛名書きなどの“単純労働”以外は支払いが禁止されているのに、その名目等で不正にカネを渡していたと思わないわけにはいかない証言が多数載っている。
情報公開請求でその選挙運動費用収支報告書を入手し、そこに貼付された領収書の者を当たった結果、「ポスター貼などしていない」、「領収書のサインは自分の字ではない」、「カネをもらっていない」などの多くの証言を得たからだ。
もっとも、『週刊文春』はその証言者の名は後述する下関市議など公人を除いて明らかにしていない。それでも神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)が告発できたのは、同じ手法で共産党の地元議員などが証言を取り、その実名を把握できた結果だろう。
それにしても、なぜ、林氏の陣営が訂正したのは山陽小野田市の13人のみなのか? 『週刊文春』取材でも、虚偽記載と思われる証言は選挙区全体で見られたのだ。
「それは『週刊文春』の報道を受けて確認したところ、山陽小野田市担当の私設秘書が、使用されなかった選挙費用13万円を事務所に返金せず(着服か?)、13人に1万円ずつの領収書をデッチ上げたからでしょう。これは論外なので、すでにその私設秘書はクビにしています。
かといって、他の『ポスター貼などしていない』などの証言者は、基本、カネをもらっているし、林陣営の者ですから、自分の方から訂正=虚偽を認めるのは得策でないとして今は様子見でしょう。告発状はまだ受理になったとは聞いてませんから」(地元事情通)
とはいえ、検察が忖度しなければ(また実名で証言が集まれば)、告発した上脇教授もいうように、これはまず明らかに公職選挙法に抵触し得る案件で、そうなれば、連座制で林氏の議員失職もあり得る大スキャンダルと本紙は見る。
そんななか、地元事情通の間では、この采配をしていたのはあの秘書だろうとの名前が上がっている。



