世界最大級の動画配信サービス会社「ネットフリックス」は、オリジナル作品として、2023年7月から「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」を配信している。
2000年7月、東京・六本木のクラブで働いていた英国人女性、ルーシー・ブラックマンさん(当時21)が失踪し、翌01年2月、神奈川県三浦市の海岸沿いで遺体で見つかった事件。警視庁はその2カ月後、逗子のマンションに住む織原城二服役囚(73)を逮捕。10年12月、無期懲役が確定している。
失踪時、ルーシーさんの父と妹が来日。愛する家族を必死に捜す姿が大きく報じられ、また逮捕後も織原服役囚はルーシーさん以外も多くの女性を毒牙にかけていたとされ、書籍も出て、失踪からもう20年以上経つも、この事件を覚えている読者は多いことだろう。
そこでネットフリックスは23年7月、書籍『刑事たちの挽歌〈増補改訂版〉 警視庁捜査一課「ルーシー事件」』(高尾昌司氏著。22年12月刊。文春文庫)を元に、同事件に関わった元刑事や高尾氏を出演させ、オリジナルのドキュメント映画を作成し公開。「朝日」など大きく取り上げ、大きな話題を呼んだ。そして、現在も配信されている。
ところが、公開からほどない23年10月、獄中の織原無期懲役囚が提訴していたことがわかった。この事実は、未だどこも報じていないと思われる。
訴状などによれば、被告はネットフリックスと、この映画監督の山本兵衛氏(冒頭写真の右人物)、それにこの映画を大きく宣伝した「朝日」。
請求金額は2億240万円。しかしながら、この映画だけでなく、予告編の映像、山本監督をインタビューしたり、映画紹介した「朝日」記事や動画などの削除も要求し、映画公開から削除されるまで1日100万円を要求しており、今日も削除されていないことを考えれば、2億240万円と併せると現時点でもすでに10億円以上になる巨額さだ。
その上、ネットフリックスに対しては4大紙へ、朝日は自分の新聞への謝罪広告掲載も要求している。
読者はここまで見て、無期懲役の織原服役囚のこんな要求が通るわけがないと思われるかも知れない。それが常識なら、本紙も記事にしない。
織原服役囚の要求を、裁判所が少なからず認める可能性があると考えるから取り上げたのだ。



