アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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釧路湿原のメガソーラー工事――「日本エコロジー」は悪徳業者なのか!?

「なんで貴重な生態系のある釧路湿原にメガソーラーを建設しなきゃならないのか」とモデルの冨永愛が7月2日にXすると、登山家の野口健氏が「一緒にアクションをおこしませんか」と現地視察を提案する(8月18日)など反響大きく、冨永のそのインプレッション数は現在、実に5189万、「いいね」が30万付いており、爆発的に拡散したことがわかる。
 そんななか、「news23」(TBS系)が8月21日に特集を組んで放送。『週刊文春』も9月4日号(8月28日発売)で報じるなど、袋叩き状態と言っていいのが太陽光発電関連業者「日本エコロジー」(大阪市中央区)だ。
同社は、釧路湿原“周辺”の約4・2ヘクタールの民有地にソーラーパネル6600枚を設置しようとしているが、これに対し、同社には1日数百件の抗議電話がかかり、それは同名の別会社(大阪市都島区)にもで、その別会社はHPで、太陽光発電事業の同名会社とは「一切関わりがございません」とお知らせを出しているほどだ。
だが、この太陽光発電関連業者の日本エコロジー、本当にそんなに悪徳なのか?
本紙とて、太陽光発電の乱立には反対の立場。だから、過去、太陽光発電高値売電権利を詐欺的に転売する「スマートグリッドホーム」(東京都新宿区)、工事が杜撰極まりない「ブルーキャピタルマネジメント」(東京都港区)などにつき精力的に報じて来た。
まして、今回槍玉に上がっている釧路湿原は国指定の天然記念物・タンチョウヅル、オジロワシなどが生息する貴重な場所なのだから、そこでのメガソーラ(大規模太陽光発電施設)建設には反対の立場だ。
その本紙が今回、わざわざ日本エコロジーを擁護するような記事を報じるのは、たまたま本紙・山岡の知人が日本エコロジーの松井政憲社長と親しく、言い分を聞いてやってくれと頼まれたことに端を発する。
その際は、知人の顔を潰さないように言い分は聞くが、正当性があるとは思えず、記事にはできないだろうと思っていた。
だが、今回こうして報じるのは、日本エコロジーは悪質業者ではないのに、様々な政治的思惑などから、このバッシング、とても公平なものではないと思わざるを得ないからだ。
以下、その根拠を述べる。

①日本エコロジーのメガソーラー計画地は、釧路湿原の国立公園内ではない
一連の報道を見た人は、日本エコロジーの計画地(釧路市北斗)は、釧路湿原国立公園内と思っているのではないだろうか。
釧路湿原=釧路湿原国立公園で、この東京ドーム約6000個分に相当する約2万8000ヘクタールは保護されている。中でも特別保護地区(写真の茶色部分)は、ラムサール条約で全面開発禁止になっている。
ただし、同じ国立公園内でも普通地区(写真の緑色部分)は許可を取得すれば開発可能だが、日本エコロジーの計画地区は、その普通地区でさえなく、湿地帯ではあるものの、市街地に近い市街化調整区域(地目は原野)に過ぎない。
そして、日本エコロジーが開発を計画した時は、自然保護のための釧路市のガイドラインはまだ設けられておらず、有体にいえば、法的には何ら自然保護の規制はないから、勝手に工事を進めてよかった。ただし、2023年7月に太陽光ガイドラインが設けられたため、その後は市の指導に従い希少生物保護のための調査など行っている。(*ちなみに、太陽光ガイドラインはあくまで届出であり許可制ではないので、勝手に工事しても罰則や規制はない)。

②国立公園内でのメガソーラー建設時、日本エコロジーに対するような激しいバッシングはなかった
一例を上げると、国立公園内の「普通地域」は開発可能で、2017年4月、「大林組」(1802。東証プライム。東京都港区)のグループ会社がメガソーラーを建設している。
 その規模は、日本エコロジーの北斗地区での計画(3・894メガ)の4倍以上の17・876メガ。その大きさ、しかも国立公園内であることを考えれば、日本エコロジーよりはるかに大きな環境破壊が想定されたはずだ。しかし、今回のような激しいバッシングはないどころか、釧路町協力の元(敷地は町が貸与)、建設され、開所式には釧路町長ら町の関係者も多く出席し「自然環境に配慮したメガソーラー」だとして祝っている。
また、日本エコロジーが開発を進める北斗の現場のすぐ横で、日本エコの本工事着手よりすぐ後に約1ヘクタールの埋め立て工事が行われたが反対運動は起きていない。

③日本エコロジーは生態系調査を行い、他地域の一部は開発中止に。そして、北斗での開発は実質、すでに市の認可を受けている
日本エコロジーが釧路市でメガソーラー建設を計画するのは「北斗」地区だけではない。
「昭和」地区の予定4区画では、1区画でオジロワシの営巣木が見つかった、また、もう1区画はそのすぐその近くということで、2区画は中止を決めている。また、もう1区画も、釧路市の天然記念物・キタサンショウウオが生息する可能性があるということで調査結果が出るまで開発を見合わせている。
一方、「北斗」地区での開発についても、市からの要請を受け、タンチョウヅルの営巣は確認されないとの報告を、タンチョウの第一人者であるNPO法人「タンチョウ保護研究グループ」(釧路市。百瀬邦和理事長)にもらい提出している。この結果、釧路市より太陽光ガイドラインの受理(*わかり易く言うと基本、工事を進めていいということ)を取得している。
この間の報道などを見ると、日本エコロジーは、市の希少生物保護対策のためのガイドラインを無視して工事を強行しているかのように思ってしまうが、そんな事実はない。

では、にも拘わらず、なぜ今回、これだけのバッシングを受けることになったのだろうか?

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