プロフィール 投資歴26年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は、42,718円と前稿比+85円(※前項比+▲745→ 1558→ +1020→ ▲656→ +1637→ +249→ ▲241→ ▲348→ +1748→ +569→ +92→ ▲223→ +805→ +594→ +251→ +672→ +1125→ +976→ +1144→ ▲195→ ▲3339→ ▲557→ +624 →+166 →▲269→▲1621→ ▲372→ +362→ ▲785→▲360→+1481→▲739→▲705→+193円(大納会))となった。
ただその夜、東京時間が引けた後から流れが一変し、日経平均先物は節目となる42,400円台を下回ると最終的に42,110円まで下落して引けている。
※2025年の最安値は4月7日(月)30,793円。2024年8月5日は31,156円のフラッシュクラッシュがあった。
ドル建て日経平均の終値は290.6ドル(※287.1→294.7→283.8→271→282.1→267.7→269.4→275.9→278.2→264.1→264→262→263.8→259→260→257.9→253.8→248.5→244→233.3→231.3→246.3→252→249.3→250→247.7→257.7→256.5→255.8→255.8→257.3→247→247.5→252.6→246.7(大納会))。こちらは今年の最高値は7月24日の287.3ドルが先週にあった。最安値は4月7日に211.2ドル。
NYダウは、週間で-87ドル安となる45,545ドル(※前稿比+686→+770→+587→▲1313→+560→▲30→▲457→+1010→+1612→▲565→+493→+667→▲1052→+1406→▲68→+1203→+972→▲1071→+1898→▲3269→▲401→+497→▲1314→▲1039→+413→▲1,118→+243→▲242→+121→+936→+1550→▲794→+151→▲259)。※最高値は2024年12月5日の45,074ドル。※4月7日に36,612ドルが直近最安値。
ナスダック100指数は23,415Pと、前稿比-83P安(※前稿比▲214→+101→+848→▲509→+207→+284→▲86→+333→+908→▲5→▲131→+421→+425→▲512→▲1367→▲42→+670→+1175→▲702→+1562→▲1,883→▲473→+49→▲496→▲683→▲730→▲501→+624→▲23→▲296→+333→+594→▲450→+183→▲175)であった。※4月7日に16,542ドルが直近最安値。
筆者としては、先週の木曜日の朝に発表された「エヌビディア」の決算カンファレンスのガイダンスが不調となり、〝全世界での株式市場の下げ〟に賭けていたのだが、現在のところエヌビディア社はうまくこの難局を乗り切ったといえるだろう。これまでの企業決算を見るに、中国向けのガイダンスの不調により、けっこうな企業が株価を下げてしまう事態を見てきただけにアッパレだ。
だが、決算後数日たってから評価が激変することは、これまでの株式投資人生では間々あったことである。そう考えると8月29日(金)に出た「アリババショック」と先行きは、半導体のみならず全体相場を語るうえでかなり重要なものとなりそうだ。
中国のアリババが発表したのは、エヌビディアのチップと互換性のある半導体チップである。これを活用することにより、これまでエヌビディア製の半導体チップで、AIディープラーニングトレーニングをしてきた中国のハイテク企業は、生成AIにおいてさらに優位性を発揮できるとみられている。そしてこれにより、米国のエヌビディア社が輸出する、性能を落として出荷する「H20」は不必要なものとなる。
アリババはこの発表により、これだけの時価総額がある企業にも関わらず、+12%もの株価の急伸となり、エヌビディア社は-3%となった。
そもそも中国の「ディープシーク」の最新モデル(V3.1)は、どうやらエヌデビィアの半導体を使わずに中国産の半導体チップを使用した可能性が高いとみられている。性能はチャットGDPにやや劣るレベルまで引き上がっており、かかるコストは68分の1程度だというのだ。
ただ、この生成AIの世界はおそらくは圧倒的な少数の勝ち組がすべてを持っていってしまう勝者総どりの構図になると思われ、NO.1にならなければそれまでの投資が無意味なものとなりそうだ。
先週、「OPEN AI」社のサムアルトマンCEOは、「現在の生成AIはバブルであり、過剰投資となった企業はツケを払うだろう」と発言している。だいたいにおいて、現在のところ、この生成AIで収益に寄与できている部分は投資金額の5%程度で、残りの95%は実証実験中と申しますか、リターンがないのが現状であり、こういった内容は、肌感覚では理解していたが、数字となると残酷である。2022年後半くらいから投資が始まっているから、もうすぐ丸々3年経とうとするが、まだわかりやすい収益ビジョンを打ち出す企業は存在しない。
ただメガテックの中でも「メタ」社や「マイクロソフト」社などは、直近でますます投資額が増えており、直近の四半期決算をみるに売り上げの40%近くをAI投資に使っている。「グーグル」や「アマゾン」社も20%近くとなっており、これはあまりの投資規模がゆえに、この生成AI戦争で負けた企業は【株価半分】レベルの大暴落が起こりそうだ。
エヌビディア社のファンCEOは、今回の決算カンファレンスで「来年も記録的な年になる。データセンターAI以外でも、フィジカルAIの時代が到来し、ロボティックスが最大の成長ポテンシャルで新しい産業が誕生するだろう」、「aiネイティブ(スタートアップ企業)からの投資需要も拡大」と気を吐いていたが。
筆者も、生成AI搭載のロボットに関しては大いなる未来を予見できるので、投資対象としたいが、あとはコールセンターくらいだろうか? ようするに今のところ人員(コスト)削減には期待できるといったところのようで「マイクロソフト」社の従業員は4%を削減されている。これはアマゾンの配送工場なども同様であろう。ただ、この未来は明るい未来なのだろうか?
また、「エヌビディア」社の決算が終わり、同社の株価は決算前の水準からはちょこっと下げとなったが、すでに決算後に目標株価引き上げラッシュが終わって上昇しなかったことと、ここからの材料が見えないこともあり、常識的にはしばらくエヌビディア社は弱含みとなる可能性が高いであろう。となれば世界NO.1企業の株価、延いては半導体SOX指数が弱くなるということで、相場全体が弱含むと考えるのが自然だろう。
ただ今後、明確に下方向にドカーンと株価が反応するのは、米国のメガテック企業(GAFAM)の生成AIへの設備投資額の動向だろう。現在のところは、各社設備投資計画に関して、決算発表の際に意外感があるほど上方修正されてきていることから問題はなさそうであるが、すべては過去の話であるため注視したいところだ。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。



