
まだどこも報じていないと思うが、警視庁捜査2課が複数の所轄署と合同で捜査を進めている数十億円規模とも見られる高級車購入を名目にした詐欺疑惑がある。
ズバリ言えば、容疑者は「KM international」(代表は妻。東京都清瀬市)のオーナーである田中剛氏(冒頭右写真)。なお、同社はすでに昨年7月末、破産開始決定が出ている。
複数の関係者の話を総合すると、田中氏は2022年2月以降、複数の個人や会社と主にトヨタ自動車のランドクルーザーやレクサスにつき売買契約を結び、KMの銀行口座に代金を入金させていた。
「当時、トヨタ車はコロナ禍の影響もあり、注文して納車までに1年から1年半もかかっていた。ところが、田中はトヨタ自動車の豊田章男代表取締役会長とレーサー仲間で親交があるので、定価で前金で全額だが、KMに振り込んでもらえれば、うちと『トヨタモビリティ東京』との間では特別枠があり優先され、半年で納車できると売り込んで来たんです」(被害者の1人)
その際、証拠として、豊田会長とつきあっていることを物語る写真を見せられたという。また、多くの上場企業が顧客で、そのなかには
「サイバーエージェント」(4751。東証プライム。東京都渋谷区)の藤田晋代表、「エイベックス」(7860。東証プライム。東京都港区)の松浦勝人会長などもいるとして、やはり写真などを見せられたという。
そうしたことから、すっかり信じてしまった、業務上などから早く納車を希望する会社や個人は、KMに入金した。なかには数十台、総額云億円を振り込んだところも。ところが、一向に納車されない。
それもそのはず。これらはまったくの詐欺話で、KMは信用させるために同社を買主、被害者を登録名義人とする「新車注文書」を被害者側に見せていた(右横写真)が、実際にはトヨタ自動車直営の販売会社・トヨタモビリティ東京には注文されてなく、したがって、払い込みもされてなく、KMが被害者の入金分をそのまま横領していた模様なのだ。
詐欺とわかり、後に判明することだが、被害者の1社がトヨタモビリティ東京に問い合わせしたところ、同社は、KMが「転売」していたことから契約違反だとして、KMには2022年に入ってただの1台も納入していないと文書回答して来ている。
これでは、待てど暮らせど被害者に納車されないのは当然だろう。
こうしたことから、事件化は必至と見られるが、この件に大物増資ブローカーが関与しているとはどういうことか?



